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〔また別の始まりの話・2〕
2008/11/05(水) 22:32:34
この船に乗り込んでいて、この船底の雑魚部屋にいる奴で、さして腕も立たなそうなあの二人よりも腕の立たない奴が、巻き上げて価値のある物など持っている訳がない。
本当に価値のある物は、もしかしたらチャチなペンダントとかそんなようなどうでもよさそうなナリをしているのかもしれないが、とりあえずそのアヤをつけられている男は俗っぽい価値のありそうな物を身に付けているようでなかった。
まあ、それこそ本当に気晴らしで、別に狙いなど無いのかもしれないが、喧騒を楽しむ趣味がない者にとっては単純に迷惑だ。
惰眠を貪る事すらできない。
首筋をごりごりと掻きながら、寝ぼけた頭がハッキリしてくるにつれ喧騒が更に耳に障るようになり、俺は立ち上がりヤニを吸える場所を探す事にした。
喧騒に背を向け、同時にバンダナにオーバーオールという妙に目立つ出で立ちの男とすれ違い、上構への梯子に手をかける。
その背中に一際高くなった歓声を受けながら、俺は梯子を登る一歩を踏み出した。
(ez/W61T, ID:3Cu7xFH5O)
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