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188 :すき焼きのタレ
2022/04/01(金) 00:33:32
屋上に辿り着きました。
ジャムまみれの目をこすり、柵から身を乗り出して下を覗くと、いろいろな色のジャムが互いに混ざり合い、それを桜が飾って、一種の絵画のようになっていました。
何よりも、綺麗でした。
「やっと、着いた」
振り返ると、全身がジャムで染まった”陽希さん”がいました。
「もう、終わりだよ」
「いえ、どちらも丸腰です。まだ勝ち負けはついていません」
私は重い足を動かし、彼女に向かいました。
ですが彼女は、私を無視して柵の方へ向かいました。
「すごく……綺麗だね」
彼女の口から溢れた言葉は、私が下を見たときの感想と同じでした。
思えば、彼女と心が通じ合ったのは、これが初めてでした。
*****
「いやあ~面白いものが見られた」
戦が幕を閉じた屋上から、色が混ざってはじけた地面を眺めた。
「和解したか。思ってたのとは違ったけど、面白かったしいいや」
パンとご飯って、『たらこ』とかいう共通点があるのに。ま、どっちも別に興味無いから、いいけど。
自分が人生をかけたものを煽ると、ここまで盛り上がるのか。新しいものを学べた。
「みんな、お疲れ!」
呼びかけると、倒れていた者達がぞろぞろ起き上がってきた。
「あとで、打ち上げしようや。あ、でも、体は軽く洗っとけよ」
桜は無惨にも、すべて散ってしまった。
春は終わった。
やっぱり、この景色が、最高だ。
俺は”祭り”が好きだ。”祭り”に命を捧げる仲間も好きだ。
俺は、信頼できる仲間と”祭り”を楽しむのが、大好きだ。
何よりもアツイ”祭り”と、俺は共に生きていく。
そして、夏が始まる。
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