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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/06/15(火) 21:04:17

「オラ邪魔だぁ!食堂はスポコンジャーが使わせてもらう!失せろやあ!」
どやどやと巨漢の集団が入って来た。
皆2m近い体躯である。この2041年、肉体改造術の発達によりこの位の身長は珍しくもないのだが。

「よせ。食堂はみんなのものだ!」
男子生徒の1人が果敢にも立ち塞がる。
「どけと言ったのが聞こえなかったのか?俺たちは武芸&格闘クラスの精鋭だぞ。食事を優先してとる権利があるだろうがぁ!」
スポコンジャーの丸刈りの男が変身を決めた。
「サッカーレッド!」
赤い戦士となりボールを蹴る。
「根性落シ!」
ボールは回転しながら飛び上がりドリルの様に急降下。歯向かった男子生徒は腹部への直撃を受け吹っ飛んだ。

食堂は忽ち戦場と化した。
変身の掛け声と共に多数の生徒が武装し激突する。皿やコップの割れる音、カレーが床に飛び散った。厨房のおばちゃんは「やめて下さい!先生方を呼びますよ!」と叫んでいる。

「何?あの野蛮な奴らは」
「任侠戦隊スポコンジャー、スポーツマンシップとは無縁の不良集団です。や、やばい。隠れなきゃ・・・」
佐奈は明らかに怯えていた。

「ブヒ~!今日はカレーブヒ!うまそうブヒ。先に喰わせろや。」

豚を擬人化させたような醜男が現れ私と佐奈の間に割って入った。
髷を結っており、制服ではなく着物姿だ。スポコンジャーの一味か。
「おばちゃ~ん、500で頼むブヒ。」

「ちゃんと並んでよ。」

「ブヒ?」
豚は目を丸くして私を見た。
傍若無人な豚は、自分に逆らう者の存在が信じられないようだ。
「ブヒヒ・・・僕が誰か知らないブヒ?スポコンジャーのスモーイエロー!女の子なら張り手一撃で脳震盪。」
豚は張り手を取る真似事をした。威嚇のつもりだろうか。

「女に手を挙げるのを自慢げに話すんだ。私を殴るのはいいよ、やり返すから。でもちゃんと並んでよ。次佐奈の番だから。」
「ブヒヒ?」
佐奈は「うちはいいから!」と小声で叫んだ。
だが豚は佐奈の姿を捉え、目を細めブーブー鳴いた。
「チビの鰻(うなぎ)じゃないブヒか!こんなところで会うとは奇遇ブヒね。」

「チビって、言わないで・・・!」
佐奈は顔を赤くしていた。
「七海さん聞いて!こ、この人、チビって言って、毎日嫌がらせしてくるの!やめてって、言ってるのに!」

「落ち着いて。」
私は冷静に言う。

「豚、じゃあ私と勝負しよう。」
「僕を豚だと?生意気な娘ブヒ。いったい何で勝負するブヒ?」
「カレーで。」

私は大盛りのカレーの皿を手に取った。

「負けたら佐奈に謝って貰う。」

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