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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/06/15(火) 21:13:07
4人はまず体育館に到着した。
中学の体育館とは比べ物にならないほど広い。
学生たちが竹刀で打ち合っている。道着のような戦隊スーツと、剣道の面のようなマスクを身に着けている。
「あれは武芸クラス、剣客(けんきゃく)戦隊バットウジャーだブヒ。」
「武芸クラスはどんなクラスなの?」
「ブヒヒ。七海ちゃんいい質問だね。武芸クラスは主に武芸十八般を極めるブヒ。すなわち――剣術・抜刀術・弓術・槍術・柔術・砲術・・・えーと・・・水泳術・・・」
「7個しか言えてないじゃん。」
「馬術もあるよ!」と楓。
「ブヒ!よく知ってるブヒね。」
「生物クラスに蹄(ひづめ)戦隊キバレンジャーってのがあるからね!あたし馬乗ってたら、落ちて膝にでかいあざ作っちゃったんだけどね」
楓はスカートをぺろりとめくって青あざを見せた。
「わあ、すごい」と佐奈。
「校庭にも武芸のやつらが居るはずブヒ。」
豚之助は体育館脇の扉から外に出ようとする。
「あ待って」
「どしたブヒ?」
窓から日差しが差し込んでいた。私は立ちすくむ。
「七海ちゃんは太陽が苦手なの!だから昼間は、外に出れないんだよ!」
楓が代わりに説明してくれた。
私の白い肌は少し日差しを浴びただけでも火傷を負うように痛み、赤くただれてしまう。
「大丈夫、日傘取って来るから。」
サングラスと真っ黒い日傘を装備。そして日焼けクリームを全身に塗ることによって私は校庭に繰り出した。
気温はそう高くないのだが、私にとってこの広い校庭は砂漠を横断しているかのように感じる。
向こうに蜃気楼のように霞む時計塔が見えた。
「あれは?」
「校長室のある中央校舎(セントラル)ブヒね。」
時計塔の三角屋根から避雷針が天に向かって鋭く伸びていた。
「突き刺さったら痛そうだな。」
「あは!七海ちゃんのそう言う感性好きだよ!」楓が笑った。
白い砂を踏んで歩くと、ドォンという銃声が間近で聞こえた。
「ひゃあ!」
佐奈が女子みたいな声を出した。女子だが。
「ブヒヒ。弱虫。」
「違うから!」
豚之助は目を細めてブヒヒと笑う。
見ると生徒が2人、睨み合って立っていた。カウボーイの様な意匠の赤と緑の戦隊スーツに身を包んでいる。
赤の方がバッタリと、膝をついて倒れる。
撃たれたようだ。
「け、決闘!?」
更に2発3発と銃声が轟き、私たちは地面に伏せた。
色とりどりの戦士たちが銃を持って現れ、今度はがむしゃらに撃ち合い始めた。先程倒れた赤の戦士も立ち上がり銃を撃つ。
「ガンマンジャーのやつらが実践訓練中ブヒね。まずいとこに来ちまったブヒ。」
豚之助は必死に縮こまって居るが、巨体が仇となり、そのでかい尻のすぐ上を銃弾がかすめた。
私たちは豚之助を盾にすることにした。
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