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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/06/15(火) 21:15:34
その後のクラス見学でも物珍しい光景を見たが、“5人目”はなかなか見つからなかった。
芸能クラスのメンバーはまるで小規模な部活の様に教室に集まっていた。
「我がクラスからはまだプロの戦隊が生まれていない!どういうことだー!」
「ギャグレンジャーはお笑いで天下を取るぞ!台本を書いて来たので、見てくれ!」
などと輪になって叫んでいるだけだったので、ほぼ素通りした。
他にもクラスはあるようだが、全部回り切らないうちに6時限目の授業が終わる時刻になってしまった。
生徒たちは1日の疲れを取るため食堂や浴場、寮へと向かって夕暮れの校庭を歩いてゆく。
「何クラスが残ってるんだっけ?豚之助。」
「魔法クラスとか・・・あと10個目のクラスは限られた生徒しか入学できない、秘密のクラスらしいブヒ。」
「そんなのもあるんだ。」
「じゃあ僕は男子寮に帰るブヒね。また明日、七海ちゃん!」
「じゃあね、案内ありがと。」
私がお腹をポンと叩くと、豚之助は照れながらがにまたで去って行った。
女子3人は女子寮へと向かう。
佐奈は寮の部屋割り表に目を通していた。
「ぅわ、うちの部屋と七海さんたちの部屋遠い・・・やだなぁ。そうそう、日差しの件だけど、よかったらうちが今度、日差し除けの機械作ってあげるから。」
「本当?ありがとう。」
日差し除けの機械、それ自体も嬉しいのだがそれよりも。
「さっき頭撫でたのもう怒ってなくてよかった。」
「別に、根に持つタイプじゃないのでぇ・・・」
そう言うと佐奈は自分の寮の方へ歩いて行った。
私は手を振った。
「何かあったら遊びに来てね!深夜でも。」
「じゃ、いこっか。」
再び楓と2人きり。
私たちは旅館のような学生寮の3Fに向かう。
「ここ!」
廊下の突き当りの部屋だ。
私は楓から鍵を借りて扉を開けた。
「おじゃまします・・・」
「かしこまんなよ!今日から七海ちゃんの部屋でもあるんだから!」
私と楓はルームメイトになったのだ。
「わあ――」
ミドリとの相部屋とは何もかも違った。生活感のある部屋、友達の家に遊びに来たみたい。
そして一番に目についたのは、巨大な水槽だった。
「魚飼ってるの?」
「魚じゃなくてカエルだよ!別れられなくて家から連れてきちゃったんだ。」
悪趣味とまでは言わないが、カエルを飼うにはなかなか勇気がいるだろう。
大きな水槽には岩や水草があり、まるで一個のジャングルの様だった。カエルは隠れているのか姿が見えない。
「この季節は交尾も見れるんだよ。」
「よしてよ!」
続いて目に入ったのは大きな2段ベッド。
「どっちがいい?」
「どっちでも。」
「じゃあ七海ちゃん上ね!あたし下だから。」
「OK。」
私は木の梯子を上って上段に行く。するとそこには、ミドリの部屋から今朝送った私の荷物一式が置かれていた。
ベッドの上から部屋を見渡す。
あまり広くもない部屋は水槽とベッドでほとんどが埋まっている。
ほんの隙間に机が置かれ、楓のものと思われる教科書やノート、そして大量のカップ麺やお菓子が置かれていた。
「非常食!はい。」
楓はカップのカレーうどんを掲げた。
「ごめんカレーはもう無理。そっちのシーフードにして。」
「あはは!冗談だよ。」
楓はシーフードヌードルにお湯を注いでくれた。
3分後私はベッドから降り、割りばしでそのヌードルを食べる。
「お風呂はどうすんの?」
「部屋についてるよ!大浴場もあるけど食堂と同じでうるさいからなー。行くなら夜中がオススメ!今度2人で行ってみる?」
「やだよー。楓と2人きりだと何されるかわかんないからな。」
「よくご存じで」
私はヌードル、楓は焼きそばをずるずるとすすり完食した。
壁からホッホーという声がする。見るとフクロウ型の時計が時刻を知らせていた。
「6時か。」
楓は立ち上がった。
「実は戦隊学園は夜の授業もあるんだなー。これなら日差しが嫌いな七海ちゃんでも、ダイジョーブ。」
「え?」
「2人で体験授業してみようよ!その名も“忍術クラス”。」
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