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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/06/15(火) 21:19:43
戦隊学園7時限目の開始時刻は夜7時。
現在6時45分、忍術クラス在籍の生徒たちが寮を出てぞろぞろと校舎に向かい始めた。
私と楓もC校舎に向かう。
「なんだかお祭りみたいね。」
夕方家を出て地元のお祭りに向かう、そんなワクワク感だ。
しかし校舎に到着したところで・・・。
「ごめん楓。」
「何?」
「トイレ。」
「早くしてよ!」
私は女子トイレにて用を済ませる。
窓の網戸に巨大な蛾が張り付いていた。夜のトイレはひっそりとして、気味が悪い。
手を洗って急いでトイレから出る。
「あれ?」
楓の姿が無い。
「か、楓?」
無音の廊下、蛍光灯だけが光っている。その時
「わかったいうてるやん!!」
ビクッとした。向かいの男子トイレから怒声が聞こえて来るではないか。
続けてドスッ、ドスッと鈍い打撃音。
「いたい!ほんまにもうやめて!俺が何したっていうねん!」
「るせぇ。自分みたいなの見てるとイライラしてくるんじゃ。」
私は急いで女子トイレに隠れた。
男子トイレから背の高い生徒が出てくる。
そして周りに誰も居ないことを確かめると、猫背気味に廊下を去って行った。
私は男子トイレに駆け込む。
タイルの上に男子生徒が倒れていた。
「大丈夫?」
男子生徒は私を見るなり目を丸くし、個室に転がり込んだ。
「わああお化け!」
「ひどいな・・・お化けじゃないよ。」
今のはなかなかグサッときた。
夜の男子トイレに私のような異様な見た目の女子が入ってくれば、驚くのも無理ないかもしれないが。
「女子トイレで昔自殺した生徒おるって聞いたで!それやろ?」
「でもここは男子トイレでしょ。これは生まれつきだから。入学式の時一度見てると思うけど。」
「しらん!俺ハライタで式出てへんのや!」
確かに体の弱そうな男子だ。
「ふぅん・・・殴られてたみたいだけど大丈夫?」
「何言うとんねん。大丈夫なわけあるか!痛うて死にそうやでほんまに!」
声変わりを迎えたばかりかというハスキーボイスで、ペラペラとよく喋る。
私は手を差し出した。
「しゃんとしてよ、男でしょ。」
「なんやねんそれ。弱い男もおるんやで。性別で判断すんなや!」
彼は私の手を借りて立ち上がった。
「一理あるね。じゃああなたも私を外見で判断したからおあいこね。名前は?」
「先に名乗るのがベターやろ。」
私はちょっと閉口した。
「意外と抜け目ないんだね・・・小豆沢七海。」
「クラスは?」
「まだ迷い中。忍術クラスに体験参加しようと思ってるとこ。」
「そんなんあるんか。俺は江原公一(えばら こういち)。忍術クラスやで。」
彼はひょろひょろと痩せっぽっちな上、立ち上がっても女子である私とさほど身長が変わらなかった。
その時チャイムが鳴った。
「まずい時間だ。行こう公一。」
「い、いきたくない。」
公一は動こうとしなかった。
「どうしたの?」
「もういやや!成績悪いし、いじめられるし、もう学校やめたいねん!」
悲痛な叫びだった。
「そういう気持ちは知ってる。オチコボレンジャーに入ってよ。」
「何やオチコボレって。そんな験の悪いんに入りたくないねん。」
「いいから来てよ。あなたの深緑、気に入ったの。」
私は彼の手を掴んでトイレから引っ張り出した。
「あなたが5人目ね。」
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