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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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132 :12
2021/06/15(火) 21:22:42

「あれ?行き止まりだ。」
そこにはただ壁があるだけだった。手元の見取り図と比べてみる。
「確かにここに教室があるはずなんだけど・・・」
「絡繰り扉、忍者の常識やで。」
公一は壁をトンと叩いた。扉がぐるりと回転し教室が姿を現した。
蝋燭で照らされている暗い教室。
「やっぱ嫌やな。い、胃が痛くなってきた・・・」
「嫌だ嫌だって思うから痛くなるの!いこ!」

私は彼を教室に押し込んだ。
2、30人の生徒が畳に正座している。そのうちの1人が私に手を振った。
「七海ちゃんごめん!先来てた!」
「楓!」

「遅刻ですよ。人を待たせイライラさせ虚をつく“怒車の術”を使ったというなら責めはしませんが。」
暗闇から女の声がした。
「みなさん揃いましたね。これより7時限目――忍術クラス1時限目の授業を始めます。今夜は他クラスから来た生徒さんも居ますので、自己紹介をしておきますね。わらわは忍術クラス1年担任の和歌崎(わかさき)。」

忍び装束に身を包んだ背の高い妖艶な女性の姿があった。
大人びているが実年齢はよくわからない。

私は楓の隣に座して話を聞く。
すると公一が、その身長の半分はあろうかという長大な刀を携えて傍に来た。
「それ、何?」
「これはkougaって忍び刀(しのびがたな)やで。オトンの形見で、お守りにしてるんやけど。」
公一は鞘から刀身を引き抜いた。その刃は根元からスッパリと折れていた。
「折れてんじゃん。」

「しっかりと授業を聞くこと。忍者は一体何をするために存在するか、答えてみなさい。」
先生に詰問される。楓が答えた。
「手裏剣とか分身の術でかっこよく戦ったりするやつ!TVでやってた!」

「それは大間違いです。」
先生は少しイラッとしたようだ。

「忍者はスパイです。かっこ悪くても、どんな汚い手を使ってでも、己の任務をやり遂げるのが使命です。戦うのが目的ではなく、しかも分身の術など存在しません。忍術はこの上なく現実的な科目なのです。今夜もみっちり基礎体力をつけていきますよ!校庭に出なさい!」

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