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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/06/15(火) 21:24:27

ランニングに筋トレ、忍術クラスの活動は意外にも地味だった。
先生曰く1年のうちはこういった基礎トレと、心理学のような内容ばかりをやるらしい。
楓は走りながら「来なきゃよかったー」「眠いー!」などと言っていた。

私は夜の雰囲気が好きだった。
太陽の照り付ける昼間は闇に隠れて歩かなくてはならない私。だが夜は、こんなにも自由に駆けまわれる。
「このクラスにしようかな。」
私は周りを見渡した。そう言えば、公一の姿が無い。
「公一?」

私はあの深緑を探す。
木陰で1人、何かを投げている公一の姿を見つけた。
「何やってるの?」
公一は私を無視し、何かを投げ続ける。
カンッという音がして、投げた物が木に跳ね返って落ちた。
「公一!!」
「やかましいな!集中してんやから静かにせえよ!」
公一は忍び刀を背負った背を向けたまま怒鳴った。
「ごめん・・・あ、手裏剣投げてんの?」
公一は小さな十字の刃物を片手でひゅんと投げた。木に取り付けられた丸い的には刺さらず、カランと落ちる。
「手裏剣は投げるって言わへん。打つって言うんや。それに手裏剣ってのは手の裏に隠す剣のこと。ナイフでもフォークでもスプーンでも、攻撃に使えば手裏剣になる。俺が今打っとるんは専用の忍び手裏剣や。」

「理屈はいいんだけど。」
公一は手裏剣を打つ。またもや的には刺さらない。

「さっきから1つも当たってないじゃん。」

「やかましい言うとるやん!!」
公一は今度こそ振り向いて怒鳴った。私の顔に唾がかかる。
「面白そうだから私にやらせてよ。」
「やめーや!素人のできる事じゃあらへん。」
「いいからさ。」
「しゃあないな。」
公一は渋々手裏剣を手渡す。
軽く片手にフィットするが、刃は鋭く、使い方によっては十分に人を殺傷できる武器だとわかる。
「じゃあいくよー。」


手裏剣は的のど真ん中に命中した。


「ま、まぐれやろ。」
私はドヤ顔で公一を見る。
「もっかいやろっか?」
もう一度手裏剣を打つ。

的のど真ん中に、サクッと突き刺さった。

「う、嘘やろ!お前何者や!」
「ふふ。」
私は左手で隠し持っていたタクト(指揮棒)を取り出し振ってみせた。的に刺さっていた2枚の手裏剣がふわりと宙に浮き、私の手に戻った。

「ま、魔女やああ!わああああ!!」
「どんな汚い手を使っても任務を遂行するのが忍者なんでしょ?」
公一は畏怖の目で私を見た。

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