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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/06/18(金) 02:26:18
「変身。」
天堂茂と4人の男たちはガクセイ証に呪文を吹き込み、変身を遂げた。
「レッド戦隊エリートファイブ!」
「嘘・・・。」
戦隊と言えばふつう色とりどりである。だがそれは真っ赤な壁を見ているようだった。
5人全員が赤の戦士だった。
「どうだ、驚いたか?僕たちは先日の考査で学年1~5位を獲った、エリートだけの集団なんだ。その全員が、エースの資質を持つという赤のカラーを有する者だ。そしてエースの中のエースである僕は・・・」
天堂茂は珍妙なキメポーズを取った。
「エリートワン!テストで1位を獲ったのはこの僕だ。」
「テストがどうしたっていうの?あんなのお試しみたいなもんじゃん!実技無かったし!」
楓は唇を切ったのか血を垂らしながら叫んだ。
「じゃあお前は何位だったんだ?落ちこぼれの名がよく似合う、伊良部楓。」
「・・・499。」
「え?」
悪いと思ったが私は聞き返してしまった。1年生の総数は500だったはずだ。
楓は涙目になっていた。どうやら本当に499位だったらしい。
「安心して楓。私は500位だったから。」
「ま、まじ?」
「まじ。」
というかその時はまだ入院中でテストを受けられなかったのだが。不参加で0点、つまりビリだ。
「ひゃっはっは!本当に落ちこぼれの集団のようだな!!」
天堂茂は笑い転げた。それにつられて他の赤の4人も笑う。
「それにお前らには赤が居ないじゃないか。赤が居ない戦隊など有るものか。お前らは戦隊でも何でもない、唯のゴミの寄せ集めなんだよ。」
「くたばれや!」
ヒュンと言う音。公一が手裏剣を打った。
「わあ!」天堂茂は悲鳴を上げた。私は手を伸ばし、親指と人差し指でピッと手裏剣をキャッチした。
「七海!何で邪魔すんのや!!」
「あなたを退学にはさせたくない。」
刃を直接つかんだため、指先がじわっと熱くなった。血が滲み出る。
「挑発に乗っても無意味だよ。みんな、こいつのことは無視しよう。」
「では戦隊ではないと認めるんだな?色彩の無い、小豆沢七海。」
天堂茂は私に詰め寄る。
「じゃあさ、こうしようよ。」
私はさっきポスターで読んだ催しを思い出した。
「オチコボレンジャーは戦-1グランプリで優勝するから。そうしたら私たちの方がすごいって、証明できるよね。」
その時天堂茂の冷笑は最高潮に達した。
「ぎゃっはっはっはっ!!!!聞いたか!今のは全校に放送して聞かせてやりたいくらい、傑作だったぜ!優勝は僕たちと相場が決まっているだろう。お前らは初戦敗退がいいとこさ。」
天堂茂は「いくぞ」と他の4人を率いて部屋を出て行った。
扉が閉まると、私はその扉に向けて手裏剣を力強く打ち込んだ。
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