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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/06/18(金) 02:37:26
バッターはレッドピッチャー、野中球その人だ。
「悪いけど、ここで負けるわけにはいかないから。どんな手を使ってでも勝たせてもらう。」
私は球を投げた。公一といい勝負の遅い球だ。
レッドピッチャーは余裕綽々というようにバットを振る。だが。
「あれ?」
バットは空を切っていた。
球はバッターボックスのほんの手前、空中でぴたりと停止していた。直後球は動き出し豚之助のミットの中にバスンと収まる。
「ストライク!」
「魔球か――?」
続く2球目。
レッドピッチャーは次も同じ戦法で来ると思ったのだろう。警戒し球を見送った。
「ツーストライク!!」
「え。」
ドバンと言う音、球はまっすぐに豚之助のミットへと飛んでいた。
「七海ちゃん、いい球ブヒ。」
3球目。
レッドピッチャーは主将の意地で球を打った。
だが球は飛距離が伸びず、私のミットに吸い寄せられるようにして落ちた。パシっとキャッチする。
「スリーアウト、ようやくチェンジ。」
私は手裏剣を的に当てた時の要領で、隠し持ったタクトで球の動きをコントロールしたのだ。
2回表、オチコボレンジャーの攻撃は私から。
レッドピッチャーはマウンド上でキャッチャーとサインのやり取りをしている。
私は魔法でホームランを打ってやろうと考えていた。
「魔法は奥の手にするつもりだったけど、こう大差付けられちゃ仕方ないよね。」
勝ち目のない勝負を真面目にやる必要は無い。
「待てよ。」
そもそも――
「そもそも戦-1グランプリは野球の勝負じゃないし、野球やろうって言ったのは向こうの押し付けルールじゃん。」
私はバットを捨てた。
「試合放棄か?」
「みんな集まってー!」
私はタクトを振って楓たち4人を集める。
「コボレーザー決めよう!」
「ブヒ!?」
「まじで言うてるん!?」
「七海ちゃん!そういう無茶苦茶なとこ大好き!」
「じゃあやっちゃおっか・・・。」
「ブレイクアップ!オチコボレインボー!!」
私は皆のカラーを受け虹色になり、必殺技を放つ。
「コボレーザー!!」
唖然とするレッドピッチャーの元に光線が飛んだ。彼は「わあ」と言って咄嗟に避けたが、マウンドは爆発。虹色の弾があちこちに飛び散り、守備についていたホームランジャーたちに直撃した。試合続行不能。オチコボレンジャーの勝ち。
「まずは1pt、あと9つ。」
つづく
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