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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/06/27(日) 01:17:37

「早く開けろ!こちらにはマスターキーがある!応答しないのなら無理矢理開けるがそれでもいいか!!」

「喚かないでよ。ちゃんと開けるから。」
私はカチリと鍵を解除した。

廊下には5人の男子生徒が立って居た。

「こんばんは。夜中にうるさいんだけど。」
「どの口が言うか!夜半まで騒音を流していた事実は知れているぞ!14件の苦情が、我がソウサクジャーに届いている!これは寮則違反となる!」
「ソウサクジャー?」
「風紀戦隊ソウサクジャー、校則違反を取り締まる戦隊だよ。」楓が耳打ちした。

「ふぅん。あなたの声の方がうるさいよ。」
「何ィ!!!」

「シャラップ。」
大声で威張り散らす小男を、茶髪のマッシュルームカットがなだめた。

「我々が来たのはそんな理由ではありません。ソウサクブラウン・風紀委員長です。ボクの茶色は、学園一美しい。」

「美しい?なら見せてよ。」
「残念ながら、ボクは犯人逮捕の瞬間にしか変身しない主義なんですよ。」
委員長はあからさまな作り笑いを浮かべると、ずかずかと私と楓の部屋に押し入った。

「ちょっと。仮にも女子の部屋に、断りも無しに入り込んでいいと思うの?」
「令状は取ってあります。」
委員長は白い手袋をはめた手で四つ折りの紙を取り出す。パッと開いたその紙は、戦隊の歴史の授業のレジュメと大差ないように思えた。

「江原公一が此処にいるはずだ。隈なく捜せ!」

委員長の指示のもと4人の男が部屋に押し入る。狭い部屋に5人もの男が入り、非常に窮屈に見えた。
男たちは棚を開けたり、椅子のクッションを外したり、ベッドのシーツを引き剥がしたりとかなり横暴な振る舞いをする。

「勝手に開けないで!」と楓。
「やめてくれない?ここに公一は居ないから。」
「そんな筈はありませんね。彼がこの寮内に逃げ込んだのはわかっていますし、匿うならこの部屋しかありませんから。」
委員長は今度は作り笑いではなく、嗜虐的な笑みを浮かべた。

「奴の犯した校則違反は重大です。見つけ次第、退学とする――」

「やめて、酷いことしないでよ!!」
楓の叫び声。
男の1人が水槽をガンガンと叩いていた。
「何だこの悪趣味な水槽は!寮へのペットの持ち込みは禁止されているはずだが!」

「大概にして!!」

私は怒鳴った。
「公一は居ないってわかったよね!?間違いを謝罪して出て行ってよ!」
委員長は茶色の眉をひそめる。男の1人が彼に「確かに、何処にも居ませんね」と報告した。

「ちっ、」
委員長は二本指を振り撤収の合図とする。男たちはぞろぞろと部屋を出て行く。
「ごめんなさいも無し!?」
ソウサクジャーは私を無視し扉をバタンと閉めた。


「――OK。」

「し、心臓止まりそうやった!!」
水槽の浮き草の下から公一が顔を出した。見事な狐隠(きつねがくれ)の術であった。

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