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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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158 :5
2021/06/27(日) 01:27:54

1時を過ぎた戦隊学園。敷地内の森から虫の音が聞こえている。
私たちは――つまり、私と私に引っ付いている公一は――校庭脇の道を歩いていく。
「なぁ、見つかったらどないしよ・・・」
「ビクビクしないで。この暗さじゃ顔は見えないし、こそこそしてたら余計目立つから。」

よく見ると闇の中にぽつりぽつりと生徒の影があった。寮を抜け出しているのは私たちだけでは無いようだ。
それはカップルの姿であった。
校庭脇のベンチに座って手をつないだり、接吻したり、おおっぴらにいちゃついている男女もある。

「きっしょいな。何でわざわざ外でやるんやろ。頭わいてるんちゃう?」
「男子寮は女子禁制、女子寮は男子禁制。校舎は見回りがあるから、外でやるしかないんでしょ。」
「成程な。」

ふと思った。
公一はさっきから、私をちらちらと見て来るではないか。
いつもは制服でピチッと決めているためラフな私服が気になったようだ。ボーダーのトップスに水色のカーディガン、スキニー。
「これだと目立つかな?」
「べ、別に。」
公一は目をそらしたふうに見せかけて私の胸元をちらっと見た。
「助平。」
「そっそんなんしてへんで!」

電灯がシルエットを照らし出している。私はぴょんとステップを踏んだ。
「妖精さんみたいやな。」
「え?」

私は、公一のほうを振り向いて。
「そんなの言われたの、はじめてだ。」

なんだかちょっと嬉しい。

「お化けとか、カイブツって言われたことはあるけど。そういえばあなたも最初、お化けって言ったよね。」
「それはごめんって!言わない約束や!」

立ち止まる。人目はほとんどない。

「襲うなら今だよ。キスくらいできるよね。」

公一は口を真一文字に結んで私の目をじっと見ていた。数秒が経過。
「やめとこ。返り討ちにされたないねん。」
「お利口だね。」
私は手をひらひらさせてちょっと相手をたぶらかしてみる。自分、こういうキャラじゃなかったはずなのに。

C校舎が見えてきた。すると突然後ろから肩を掴まれ茂みに押し倒された。
「わぁ!後ろから攻めるとは意外と――」
「静かに!」

道の向こうからぞろぞろと集団が歩いて来る。

「見つけられないとは言っておりません。時間と人手があれば確実に仕留められます。寮内に居ることはわかっているのですから、しらみつぶしにやればいいだけの話だ。」
「クラスの威信に懸けて、必ず捕まえなさい。」

委員長と、担任・和歌崎率いる忍術クラスのメンバー30余名が、大股で校舎から寮の方へと歩いて行った。

「やったね公一!これで校舎はもぬけの殻だ。」
「逃げたと見せかけ侵入する、逃止(とうし)の術やな。」

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