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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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184 :2
2021/07/01(木) 22:15:21

戦隊学園の校庭は広い。
メイングラウンドは、東京ドームが四人兄弟だったとしてもすっぽり入るほどの広さだ。
そこに現れたのは5階建ての校舎に届くほどの巨人――いや、ロボットであった。
メイングラウンドを取り囲む5つの校舎の数多の窓から、生徒たちが身を乗り出し、このロボットの動きを見守っていた。

「すっごぉ!何してんだろ?」
七海たちも食堂の窓で寿司詰めになっていた。
「これは・・・」

迷彩柄の巨大ロボは関節を曲げたり、軽くジャンプしたりと人間そっくりの挙動をしていた。

「準備体操している。」
「ブヒ~!?」

巨大ロボの口から、人がスピーカーで話しているかのような声が発せられる。
『こちらアーミー電兵隊(でんぺいたい)。ジュウキマン!早く出て来い!どうぞ。』

するとグラウンドの向こう側から、5台の大型車両がメキメキと木をなぎ倒して走って来たではないか。
パワーショベル・ブルドーザー・オフロードダンプ・ミキサー車・クローラクレーンの5台だ。その全てが、規格外にデカい。
「でっか!」
「楓、あれ見たことあるよね。私たちが工学クラスのガレージに見学に行った時、整備されてたやつだよ!」

5台の重機は横一列に並んで止まる。
突然、校内一斉放送が流れた。

『レディース&ジェントルメーン!なんて、古い声かけは使いマセンよー!ジェンダーレス!心はレディーのジェントルメンも!見た目はボーイのガールズも!戦-1グランプリ注目の一番で御座いマス!実況はわたくし、配信戦隊ジッキョウジャーの実況者YUTA!』

「何これ。」

『片やアーミー電兵隊!既に7つの戦隊を下し、決勝進出待った無し!優勝予想2位に輝いた、エリートファイブの対抗馬デス!今回は満を持して、自作の巨大兵器・アーミーロボで勝負を挑む!その戦力や如何に?』

迷彩柄のロボは筋肉があるわけでもないのにマッスルポーズを取った。
校舎から歓声が湧き上がる。

『対するは建築戦隊ジュウキマン!力仕事はお手の物、古くなった男子寮を改築したのもこいつらデス!デザインジャーに発注した兵器で勝負を受けマス。購入額は驚きの・・・おーっと、早速合体を始めマシタよ!』

5台の重機はガガガと言う工事中のような騒音と共に変形を始めた。
砂埃が立ち上がる。
オフロードダンプが荷台を下ろし、その上にブルドーザー、更にその上にパワーショベル、ミキサー車、クローラクレーンが乗る。
荷台が上がると、オフロードダンプの四輪は強健な脚となり、ブルドーザーは胴体を守備するブレードとなった。
ミキサー車は右肩に位置し、ドラムから右腕が出現。クローラクレーンは左肩に位置し、長いクレーンを地面に垂らした。
そしてパワーショベルは胸から首を形成し、首から頭の代わりに大きなシャベルが伸びているという奇抜な格好になった。
人のカタチからはかけ離れている。しかしその大きさは、見る物を圧倒した。

『完成、ジュウキオウ。』

楓や豚之助は顎が外れてしまったのか、口をぽかんと開けたままこの現実離れした光景をまばたきもせず見つめていた。
七海も例外ではなかった。

「夢でも見てるのかな。」

「リアルだよ。」
冷静なのは佐奈1人であった。
「デザインジャーは学園の戦隊ロボ市場を独占してるの・・・でもまさか、ここまでの物とは。」

アーミーロボは既にちっぽけに見えた。

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