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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/07/01(木) 22:19:54

「佐奈待って!」
すれ違う人々は今しがた起きた激戦の跡地を見ようと校庭に向かって走っていたが、七海だけは違う。
佐奈を追いかけて廊下を反対方向に走ってゆく。

「待ってよ!」

ようやく追いついた。佐奈は振り向く。
七海はドキリとしてしまった。
佐奈が涙目だったからである。
「ど、どうしたの・・・?」

「あんなの見せられて黙ってられるわけない。うちも元々デザインジャーの端くれだったしあいつらにはさんざチビって馬鹿にされた。早くうちもおっきいロボ作って、全員踏み潰してやる。」
佐奈の目線はちょうど七海の胸元くらいだった。

「わかるよ、コンプレックスって辛いよね・・・私もコンプレックスの塊みたいなものだから。」
「・・・。」
佐奈は黙りこくっている。
「ほら、私って髪白いし。小2の頃にもうババァとか言われてたんだよ。ひどくない?」
「ババァって・・・ひどいねそれ。」
佐奈はちょっとだけ笑った。

「みんなで作戦を考えようよ。それが戦隊。」

2人の元に楓と豚之助も駆け寄る。
「そうだよ!同じチームの仲間じゃん、さっちゃん!」
「さ、さっちゃん?」
佐奈のメガネがずり落ちた。

「ブヒブヒ。仲良くするブヒ。ね、さっちゃん?」

豚之助のこの一言は余計だった。
佐奈はずり落ちた眼鏡をかけ直して卑屈な口調に戻った。
「あのさぁ・・・うちを一番いじめてたのはあんたでしょ?うちの恨みが消えると思ったら、大間違いだからね・・・」

「と、とにかくさ!寝てる公一も叩き起こして、5人で巨大兵器について作戦会議しようよ。」


「おい。」


誰であろうか。廊下の向こうから、巨漢の集団がやって来たではないか。
全員が着物に身を包み髷を結っている。豚之助と同じ格好だ。だが全員が豚之助よりはるかにデカく、2~3mはあるように見えた。

「相撲戦隊ドスコイジャーだ。お前らオチコボレンジャーに、戦-1の勝負を挑みたい。」

七海は反論する。
「今取り込み中。あなた誰?」

「しばらくぶりじゃねーか、白髪の小娘。ヨコヅナレッド・赤鵬だ。あん時は世話になったなァ。ひと月の休学から帰って来たぜ。」

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