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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/07/01(木) 22:23:44
格闘クラス専用体育館の特長はなんと言っても土俵があることだろう。
国技館のようなこの場所は、格闘系戦隊のぶつかり稽古に使われるのである。
豚之助とドスコイジャーの初顔合わせが行われようとしていた。
「相撲は初日が大事ブヒ。特に、押し相撲では。」
豚之助は廻し姿になっていた。ぷよぷよの贅肉が廻しの上に乗っかっている様はしまりが無い。
「押し相撲って何?」
楓が尋ねる。
「押し相撲と四つ相撲。つまり四つ相撲っていうのは――」
「きゃあ!」
豚之助は突然楓のスカートのすそを引っ張って抱き込んだ。
「廻しを掴んで組み合うのが四つブヒね。」
「わ、わ、包容力やっば!」
裸のデブに抱きしめられて楓は何故か顔を赤くしていた。佐奈はふいっと目をそらし、ノートパソコンを打ち始めた。
「最初の相手は弱いみたいだよ、落ち着いてやれば大丈夫。」と七海。
初日 ジョノクチオレンジ・大橙(だいだいだい)
二日目 ジョニダンパープル・紫光山(しこうざん)
三日目 マクシタピンク・扇桃風(せんとうふう)
四日目 ジュウリョウグリーン・霞緑(かすみどり)
五日目 ヒットウブルー・青竜丸(せいりゅうがん)
六日目 オオゼキブラック・黒ノ不死(くろのふじ)
千秋楽 ヨコヅナレッド・赤鵬(せきほう)
「豚之助はどのくらいの実力なの?」
「うーん、まあ。僕はそうブヒね。序二段・・・。」
「え。」
七海は返答に苦慮した。
「と、とにかく頑張って!初日勝てれば勢いがつくのが押し相撲なんだよね?豚之助なら勝てるから!」
「ありがとう。七海ちゃんのために頑張るブヒ!」
2つの戦隊のメンバー以外には誰もおらず、がらんとしたアリーナは、さながら序ノ口の土俵の様であった。
「東ィ~、ジョノクチオレンジ。西ィ~、コボレイエロー。」
豚之助は土俵に上がる。
対戦相手の大橙はドスコイジャーの中では小柄であり、豚之助より一回り小さい痩せ型の力士だ。
塵手水を済ませた2人は「変身」と呪文を唱えた。戦隊の相撲は特殊であり、変身した状態で行うのだ。
オレンジと黄色の戦士が向かい合い、四股を踏むさまは異様だ。
時間一杯になった。
行司が「時間です!待った無し!」と合図を送る。
2人は身を屈め立ち合いの姿勢を取る。館内は静まり物音ひとつしない。立ち合いは呼吸だ。力士は呼吸を合わせ、同時に立つのだ。
仕切り線に手をついて。
「残った残った!」
豚之助は馬力で一気に押し出そうと真っ直ぐにぶつかって行った。だが。
「ブヒ!?」
バランスを崩し顔面から土俵に突っ込んでいた。大橙は立ち合いで右にずれ変化でこの一番を制した。
観客席のドスコイジャーたちから笑いが起きた。挑発的な注文相撲であった。
「ひ、卑怯・・・!」
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