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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/07/01(木) 22:33:17
押し相撲は気迫の勝負。
初日が白星ならばどんどん調子を上げていくが、黒星を喫するとずるずる負けていくジンクスがある。
豚之助は正にそれであった。
二日目の紫光山戦、再度の変化を恐れた豚之助は思い切りぶつかることができず、もろに差され転がされた。
三日目の扇桃風戦も気持ちを立て直すことができず、すぐに引いて簡単に土俵を割ってしまった。
四日目は中堅・霞緑との対戦となる。
しかし直前になっても、豚之助は花道に現れなかった。
七海は西の支度部屋に走る。途中、楓と鉢合わせした。
「豚之助は?」
「あたしが言ってもダメだった!七海ちゃんが行けばたぶん!」
「あの豚!」
七海は支度部屋に突っ込んだ。
「ブヒ・・・もうダメかもしれない・・・」
豚之助はしゃがみ込み、柄にも合わずぽろぽろと涙を流していた。
「やっぱりこんな勝負受けなきゃよかった。今日負けたら負け越しが決まる。コボレンジャーの、戦-1敗退が決まる――」
「情けないこと言わないで!」
七海は豚之助の顔を思いきり張った。ぴしゃりという音がした。
「――良い張り手ブヒね。」
「相撲は気迫の勝負でしょ?戦-1なんてどうでもいいから、一日一番に集中してよ。仮にも力士を志したあなたがそんなこともわからなくてどうするの!?」
豚之助は立ち上がった。
「そんなことわかってるよ。」
花道に向かってのしのしと歩く。
だが急にうずくまる。豚之助はごねた。
「ブヒ~やっぱ無理無理!!負けるの怖い!痛いの嫌い!やじられるのやだ、出たくない!」
「あーもうムカつく!!馬鹿之助!!」
七海は豚の巨大な尻をガンガン蹴る。
「もっと蹴ってブヒ~!」
「言っとくけどこのままだと不戦敗だからね!どうせ負けるなら・・・そうだ、こうしよう・・・相手もやったんだから、おあいこなのだし。」
「ブヒ?」
七海は屈み込み、地に這う豚之助の耳元に、囁いた。
「どんな手を使っても白星を取りに行くの。1つでいい。1つだけ白星があれば、あなたは変われる。」
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