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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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196 :第7話 1
2021/07/12(月) 22:14:41
豚之助は土俵のド真ん中に大の字に倒れていた。
負けた。
これで一勝四敗、負け越しとなる。それはオチコボレンジャーの戦-1敗退を意味する。
だが。
「コボレイエロ~!」
「ブヒ?」
軍配は西――つまり、豚之助に上がっていた。
青龍丸は観客にも聞こえるような大声で問いただす。
「おかしいだろうがぁ!!」
「お静かに。」行司は言った。
「四つに組み合ってヒットウブルーが俵に左足を掛けた際、親指が蛇の目を掃った。これによりコボレイエローの寄り切りとなる。」
会場は騒然となった。
だが一番驚いているのは豚之助の様だった。まだ起き上がることもできぬまま目をぱちくりとさせている。
青龍丸は憤怒の表情で観客席に目をやった。東の砂かぶりに居た赤鵬がのしのしと進み出た。
「俺は見ていたが指は出てなかった。いんちきを言うんじゃねえよ行司。バラされてぇのか?」
「何やて?行司の言うことが信じられへんのか!?」
「あ!」
七海は察した。あの関西弁は。
「公一!」
変装しているがよく見ると公一だった。紫の行司衣装を身に着けている。
館内に放送が入った。
『軍配は西に上がりましたが、ビデオを確認したところ、そのような事実は確認されませんでした。よって、行司差し違えとなります。』
「何やて?」
青龍丸はガッツポーズをし、行司に思い切り肩をぶつけた。
「撮ってんなら最初から言わんかい!行司の居る意味ないやんか!」
七海はあちゃーという顔をしうつむき、楓は苦笑いしている。
「じゃ、じゃあこんならどうや!ごほん――青龍丸は立ち合いできちんと両手を付かなかった。よってこの一番は無効、取り直しとなる。」
これも公一のでっち上げだろうか、だが今度こそ行司の判断は正とされた。
「きゅ、九死に一生ブヒ!」
豚之助はようやく起き上がり仕切り線に戻った。愚鈍な豚之助は行司の正体が味方であると気付いていないようだ。
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