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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/07/12(月) 22:21:54

夜11時、大浴場――

扉を開けてきょろきょろと脱衣場を覗き込む、小柄な少女の姿があった。
「だぁれもいない。」
佐奈だった。
替えのパジャマと洗面用具を手にとことこ入って来る。

「来るのはじめて~」

佐奈は少しワクワクしていた。
脱衣場は熱気が凄いが、首を振っている扇風機のおかげで涼しくもある。
ネットで調べても、この空気は実際に肌で感じねば味わえないだろう。いつも来ない空間に来るのは、それだけで刺激になる。

「本当に居ないよな?」
大きな棚に多数のカゴが置かれているが、使用中の物は無いようだ。
もう一度辺りを見渡し人が居ないのを入念に確認すると、佐奈は服を脱いだ。

裸になると、誰も居ないと思いつつ、一応タオルで体を隠す。
ふと体重計が目に入った。足を乗せてみる。アナログ式のもので、目盛りがカタカタと進む。
「嘘、やばぁ・・・」
目盛りは50の一歩手前で止まった。
「5キロも増えてんじゃん。身長は伸びないのに・・・くそ。」

浴室に向かい、扉を開ける。
「にゃあ!」
眼鏡が真っ白に曇った。
「あふ・・・取るの忘れてた・・・。」

眼鏡をカゴに戻し、改めて浴室に入る。
お湯の匂い。裸足で濡れたタイルを踏みつける。中は広く、温泉旅行に来たかのような気分だ。
しかし。
「ン?」
奥の方からザーザーと、シャワーの水音が聞こえる。
「誰か居る・・・?」
人見知りの佐奈はこのまま帰ろうかとも思ったが、取り敢えず相手の姿を確認しようとした。

髪の長い女子だった。
かなり太っていて、浴用椅子がでかい尻の下で押し潰されそうになっている。

それだけならいいが、佐奈は何故かこのシルエットに見覚えを感じた。
「ん・・・?」
裸眼を凝らしてよく見る。
すると、そのシルエットが振り向いた。

女子ではなかった。

「ブヒ?」

豚之助だった。

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