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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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201 :6
2021/07/12(月) 22:24:58

豚之助の大きな腕の中でタオルにくるまれ、まるで赤ん坊のような状態で浴室を出る佐奈。
「ち、ちからもち・・・」
「これくらい余裕ブヒね。」
長椅子の上に横たえられる。
「ちょっと待っててね。」
豚之助はその場を離れる。
そして1分と経たないうちに、ドスドスと戻ってきた。

「これ飲んで!」
豚之助は飲料を持ってきた。
佐奈は椅子に腰かけ、それを飲む。
「ごく・・・!」
甘く冷たく、朦朧としていた意識が戻ってきた。
「うちの好きな、ミルクティ」

「ブヒヒ。喜んでもらえたブヒか。」

「ていうかさ、来てるの気付かなかった。カゴ無かったんだもん。」
「ここにあるブヒ」
豚之助は手を伸ばして棚の一番高い所にあるカゴを取った。そこには彼の衣類が入っていた。
「うわ、いいなぁ。うち届かないとこじゃん・・・とりあえず着替えるからさ、見ないでくんない?」
「了解ブヒ。」
豚之助はカゴを持って棚の裏側に回った。

佐奈は眼鏡を掛け、着替え始める。すると棚の向こうから、豚之助の声だけが聞こえて来た。

「デカくても良いことだけじゃないブヒよ。」

「え~?」

「頭をぶつけたり体を持て余すことも多いブヒ。それに女子は、ちっちゃいのがかわいいって思うブヒよ。」

「かわいいって誉め言葉とは限らないよ。あんたもいつもうちのこと、チビって馬鹿にしてたけど・・・。」
佐奈はモノクロのシックなパジャマを着てボタンを留める。
すると棚の上から、太い腕が伸びて来たではないか。

「なに・・・?」
豚之助が写真を差し出していた。

佐奈は背伸びして手に取ってみる。そこに写っているのは、小柄でやせっぽっちな、少年。

「僕ブヒ。」

「え・・・えっ?」
佐奈は目を丸くした。
「嘘?」

「嘘じゃないブヒ。僕、小学生まではチビって馬鹿にされてたブヒ。だからムキになって、中学生から体を鍛えて大きくなった。佐奈ちゃんが気になったのは、僕に似てるって、思ったのかも・・・。」

「ふーん、」
佐奈は写真の中の少年をじっと見る。
「でもそれは、男の子のほうが大きくなれるポテンシャルがあるからで・・・」

「イダダ!!」
「え?」
突然豚之助の悲鳴が聞こえた。佐奈は棚の裏を覗いた。
寝巻に着替えた豚之助がうずくまっていた。
「大丈夫!?」
「ブヒ・・・青龍丸戦の怪我が、意外とこたえたブヒね・・・」
「け、怪我してたの!?それなのにうちを抱っこして?」

豚之助はブヒヒと、細い目をもっと細めて笑った。
「相撲は怪我との戦い、どんなにボロボロになっても、七転八倒ブヒ。」
「七転び八起きでしょ?明日・・・相撲は取れるの?」
「わからない。でも不戦敗にはできないブヒ。何とか土俵に立たなくちゃ。コボレンジャーを、勝たせなきゃ。」

「それならうちに考えがある。」

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