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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/07/12(月) 22:42:55
ガンッという金属のぶつかり合う衝突音、幾つかのパーツが外れ校舎に降り注ぐ。
力士同士のぶつかり合いは凄まじいが、それが巨大ロボともなると尚更だ。
生徒たちは息を呑んでこの押し相撲を見守っている。
奇塊鵬がやや優勢に見えた。
メカ之助は土俵の端に押されていき、ズズズと言う音、土煙が上がった。
「いなして!」
佐奈はレバーを思いきり引いた。
メカ之助は相手の力をうまく逃がし、一瞬の隙を突いて鋼鉄の太い腕で相手を突いた。
ドォンと言う破壊音、その一撃は強烈。
奇塊鵬は大きくのけ反る。明らかな死に体(しにたい)だ。
「やったか!?」
まだだ。
奇塊鵬はぐるんと逆立ちした。腕だった部分が足となり、足が腕となる。そして何事も無かったかのように動き出した。
『やはりこのロボにも一工夫あった!デザインジャー製にハズレなしぃいい!!』
観客たちから万歳三唱が湧き上がる。
「バンザーイ!バンザーイ!バンザーイ!」
奇塊鵬は4本の腕で万歳をした後、その4つをフル回転させメカ之助を滅多打ちにした。
「いや、手付いた時点で負けっしょ?はぁ!?」
佐奈は怒鳴った。
「意味わかんねぇ!おい七海、楓、公一!!さぼってねぇで動力を送れ!メカ之助、しっかりやれ!やらねぇとスクラップにすっからな!!」
「スクラップは嫌ブヒ~!」
怒号を飛ばす佐奈に七海が声掛けする。
「佐奈?オーバーヒートしてるみたいだし水入りにしたほうが・・・」
「るせぇ!俺に指図はいらねぇんだよ七海!!喋ってねぇで手を動かせっつってんだ手を。」
「あ、はい。」
楓はドン引きしていた。
「佐奈のキャラが違う・・・」
大打撃を受けコクピット内は高温になっていた。
メカ之助は体中から煙を上げながら退こうとするも、4本の腕でガッチリと掴まれ、吊り上げられた。
「まずいブヒ!」
観客たちは大歓声、メカ之助は土俵の外に思い切り投げ飛ばされた。
「ブヒ~!!」
しかし、
『飛んだ!』
土俵から落ちたはずのメカ之助は、宙に浮かんでいるではないか。
「八艘フライング!!」
佐奈はもしもの時のために搭載していた機能を使った。メカ之助はジェットエンジンで空を飛んでいた。
『メカ之助、空を飛んでいる!!勝負は最後まで分からない!!』
「反則だろ!」
赤鵬は拳を操縦席に打ち付ける。
七海はつぶやいた。
「反則はお互い様。」
「行くよメカ之助。デザインジャー製の合体ロボは接続部が弱い。だるま落としの要領で!」
「オッケーブヒ!」
メカ之助は降下すると、奇塊鵬の胴体に思い切り張り手を放った。
パシンと言う音、胴体を形成していたロボが分離し、土俵の外に飛んで行った。
頭部と脚だけがその場にとどまっていたが、それも次の瞬間には崩れ落ちた。爆炎が上がる。
赤鵬は操縦席から土俵の上に放り出された。
「つぶーす!」
佐奈は容赦なくメカ之助の足を上げる。
「やめろぉ!!」
赤鵬は両腕を上げ、迫りくる巨大な足の裏を必死に支えるも、限界が来る。
「ぐあああああ!」
メカ之助は赤鵬を踏み潰した。
『こ、これはオチコボレンジャーの勝利だ!決まり手は・・・踏み潰し!』
呆然としている観客たち。
佐奈は恐ろしい提案をした。
「七海さん、さっきはつい怒鳴っちゃってごめんね。ねぇいいこと思い付いちゃった。このまま観客たちも踏み潰してさ、10pts分稼いじゃお・・・?」
七海は目をぱちくりとさせたが。
「さすがに私でもそれは思いつかなかったよ。クレイジーで、イかしてるね。」
「わかってるじゃん。」
佐奈はレバーを引いた。
「止めてブヒ~!!」
メカ之助は校舎に突撃した。
校舎の一部が崩落し、観客たちは散り散りに逃げ惑う。佐奈はメカ之助を操縦し、蟻を踏み潰すように人々を踏み潰した。
「今までよくもチビって言ったな!チビ共潰してやるぅ!ほら逃げ惑えぇ!!」
佐奈はヨダレを垂らしていた。
七海は、死者が出ないよう祈ることにした。
つづく
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