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193.『戦隊学園』制作スタジオ
 ┗211

211 :第8話 1
2021/07/19(月) 20:14:35

「私と契約して・・・になってよ。」

ぼんやりと夢の中。
そう、私は今夢を見ている。それはうっすらとわかっている。
知らない女の人が目の前に立っている。
知らないってわかっているのに、夢の中では、知っている人の気がした。

「ねえ。」
次の瞬間、視点が変わっていた。
「きみだよ、きみきみ。」
私がその女の人自身になり、もう1人の少女に話しかけている。

「君こそが・・・の戦士・・・・・」

更に視点が変わり、私はその2人のやり取りを傍らから見ていた。
しかも、地面に寝そべって。
声はよく聞こえない。
なんだか眩しい。起きなきゃ。このままでは遅刻する。遅刻するって、何に――


「じゅぎょう!!」

小豆沢七海は飛び起きて、天井に頭をぶつけた。
「いって!」
二段ベッドはリスキーだ。
カーテンの隙間から朝日が差し込んでいる。枕元のスマホで時間を確かめる。

「うげ!」

8:41
授業開始まであとたったの4分しか無い。
七海はベッドから飛び降り、下段で布団に抱き着いてスゴイ寝相になっている楓を揺さぶった。
「おいこら!何で起こさなかった!」
「何ぃ?朝から激しいよぉ」
楓は目を開ける。
「生物クラス、今日は2時間目からだもん。それに自分が夜更かしするのが悪いんじゃん?」

七海は悪態をつきながら急いでパジャマから制服に着替える。
「やってあげよっかー?」
「いいよ!自分でやるから」
七海は自分でネクタイを締めようと悪戦苦闘するが。
「ごめん、やっぱできない。」
「はいはい。最初からそう言えって!」

七海はネクタイを結ぶのが苦手だ。
楓は通勤前の旦那に対する奥さんのように、器用に七海の赤いネクタイを整えてやった。

七海は「ありがと」とお礼を言うと、そこら辺にあったカレーパンを口に突っ込む。「じゃ、また放課後!」と言って部屋を飛び出すが。
「やっば!もうこんな!」
その時点で8:44
戦隊学園の敷地は広く、寮から遠く離れた校舎に1分で行くのは不可能に近い。
「ちょっとショートカット!」
ここは3F、七海は窓から飛び降りた。

スタッと着地する。
目の前には佐奈の開発した日除け付きのキックボード、通称コボレボードが駐輪してあった。
これならば日差しの苦手な七海でも校庭を突っ切ることができる。七海はそれに乗り込み、地面を蹴った。
「間に合えー!!」

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