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193.『戦隊学園』制作スタジオ
 ┗22

22 :小説
2021/05/08(土) 02:12:57

「へえ。ちょっとは面白そうじゃないか。」
気持ちの高揚を感じる。つーまらない日常に終止符を打つ嗜虐的な何か。
「戦い、争い、貴女本当は、好きなんでしょ。」
私は迷わず穴に飛び込んだ。
まるで大きな傷口の様だった。中には無音の赤い空間が広がり、地平という物も存在しない。だが私は走る。
直ぐに邪悪を感じる。
私はカバンを放り捨てると、スマホを取り出し、あの呪文を唱えた。

「コミュニティアプリ起動。」


前方の赤に何かどす黒い物がうずくまって居た。
それはむしゃむしゃと町を喰っていた。
私はドキリともせずに、それに向かって問いかける。
「何が目的?」
それは顔を上げる。いや顔ではない。ちいさくて真っ黒な体の上に無邪気な子供のかおが乗っていた。

「何てヴァカだねえきみは。ぼくの目的なんて決まってるだろう?ぼくはMARCH。世界をくいあらすもの。」

MARCHはキャキャと笑いながら振袖を持ち上げた。すると敵は数えきれないほどに増え私を取り囲む。
「ダサい手を。」
私はこの状況を楽しんで居る。
「炎の勇者ガールズレッド!スパイラルフレアー!!」
炎が忽ち幻影を掻き消す。
「クレーン現象!」
追随、私は手をマジックハンドの様に伸ばし敵の本体を掴み寄せる。
「三手目で詰み。闇魔術:きゃとるみゅーてぃれーしょん。」
私はひょいひょいと手を動かす。敵の体は粘土のように簡単に千切れバラバラになる。

勝った。わけではない。
「ガーッ!」
MARCHは体を持って居なかった。闇そのものが意志を持ち、私に覆いかぶさった。
「ああ!」
呪文を唱える猶予すら与えられなかった。

スマホが手から落ち、バキンと音を立てて割れた。

闇は私のキズナフォンを――コミュニティアプリを完全に破壊した。

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