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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/07/19(月) 20:43:48
森の木々はなぎ倒され、ぽっかりと大きな円状の平地が出来ていた。
まるで巨大な土俵の様だ。
双頭竜とメカ之助は睨み合う。
コクピットに居るのは七海・佐奈・楓・公一。メカ之助はその大きな腕で4人を拾い上げてくれたのだった。
「これに勝ったらまたまた大金星やな!戦-1決勝進出も近いんとちゃう?」
「だよねだよね!ていうか、優勝しちゃうかも!」
「星勘定はしないで。」
低い声で公一と楓を黙らせるのは佐奈。ロボを操縦すると人が変わるのだ。
「かち上げて!」
思い切りレバーを引く。
メカ之助は両肘で同時にかち上げ、双肩の2つの顔に同時にかち上げをお見舞いしようとした。
不発。
「ブヒ?」
バランスを崩しよろける。
敵は背後に回っていた。
「な――!」
双頭竜は2体の狛犬の姿に分裂していた。
「2人で相撲を取るのは卑怯ブヒ!」
「べつにこれは相撲じゃなくってよ。」
眼帯をつけ狛犬の片方を操縦する金閣寺。銀閣寺の機体と共にメカ之助をじりじりと追い詰める。
「まずい、どうするの佐奈?」七海は尋ねる。
「集中してんのに話しかけんな。ふぅ、ふぅ、」
佐奈は自分で相撲を取ってるんじゃないかと言うほど息が荒い。
「問題ナッシング。」
佐奈は笑った。
2体の狛犬が一斉にメカ之助を押し出そうと飛び掛かる。
「八艘フライング!」
豚之助はその巨体からは想像もできない跳躍力でジャンプした。ジェットエンジンで空を飛ぶ。
2体の狛犬はつんのめってお互いに衝突、破損した。
「もう!うざい感があるわね!!」
「躁子ねえさま、もう一度合体しませんこと?佑子1人ではさみしゅうございます。」
「よくてよ。」
狛犬は再度合体し双頭竜となる。
「今だ!」
佐奈はその隙を見逃さなかった。
「合体中は動けないし無防備!」
「それはタブーじゃないの?」
七海が止めても佐奈は聞かなかった。メカ之助を操って思いきり突っ込んでいく。
「わあ、ちょっと待」
双頭竜は猪のような体当たりを受け土俵外に吹っ飛ばされた。森の奥地に落っこち爆破、焼損した。
これでオチコボレンジャーの勝ち星は、8となる。
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「金閣寺躁子もやられたか。」
こちら天堂茂たちの居る会議室。
お通夜の様にしんと静まっているが。
「さぁて!土曜日は戦隊動物園の開園式でぇす!わたしはこれで失礼しまぁす!」
場に合わない陽気な男、PPチョウスキーが席を立つ。
「あ、そうそう。念のため、ロボの手配をお願いしまぁす!ポンパドーデスさぁん!」
「ポンパドールです。報酬さえもらえれば作るのは問題ないけど。」
――――――――――――――――――――――
「・・・あ。」
その夜、3時間の練習の成果あってか、七海は生まれて初めてネクタイを自分で結ぶことに成功した。
「・・・ま、いいや。明日からも楓に結んでもらお。」
つづく
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