アマゾン

スレ一覧
193.『戦隊学園』制作スタジオ
 ┗232

232 :4
2021/08/18(水) 22:37:35

7月にもなりじっとりと暑い中、七海は未練がましく戦隊動物園の塀の外に張り付いていた。
「よっ・・・と。」
背伸びして塀に手を掛ける。
「165・・・あれば・・・」
何とかよじ登る。
「おっ、見えた!」

園内はイチャラブカップルや餓鬼みたいにはしゃいでいる男子集団や動物そっちのけで自撮りしている女子集団でごった返していた。
本日は土曜日なので授業が無いクラスも多いのだろうが、土曜授業があってもサボって遊びに来ているのだろう。

真下を見ると、驚愕した。
七海の登っている塀はちょうどカバの檻の真上に位置していた。
見下ろす先には岩のような大きなカバが、狭い檻の中で居場所も無く寝そべって沈黙していた。
そんな愚鈍なカバに注目する生徒は少なく、2、3人の生徒がそれを一瞥して他の檻に進んでいった。

次に遠くを見ると、木々の隙間から長い首が顔を出した。
「うわ、麒麟もいるんだ。」
こんな不思議な動物たちを日常で見ることはない。大人びた七海でもついつい興奮してしまう。

「みんなと一緒に来たら、楽しかったかも・・・。」

七海は公一や佐奈、豚之助のことを思い出した。
「せめてkezuriに載っけるか。」
七海はスマホを取り出しこの光景を写真に収めようとする。
だが。
「あっ!」
スマホを取り落とした。しかも運悪く、敷地内に落ち、悲劇的なことに、カバの背中に乗っかってしまった。

「わぁぁ最悪・・・」
手を伸ばしても届くはずはなく、七海は塀を跨いで敷地内に飛び降りる。
カバの真横に着地。
「カバさん、起きないでね・・・」
カバの上に乗ったスマホに手を伸ばす。すると。

「なにあれ!人間が展示されてるぅう!」
女子生徒の声。
「わはは!本当だ!」
「傑作だ!」
生徒達が集まってきてしまった。七海は赤面し急いでスマホを回収すると、檻をよじ登って脱出し、あてもなく園内を走り出した。

[返信][編集]



[管理事務所]
WHOCARES.JP