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193.『戦隊学園』制作スタジオ
 ┗24

24 :小説
2021/05/08(土) 02:16:26

目を覚ますと、私は草の上に寝ていた。

まるで天国のような場所であった。

上体を起こすと、ここが平地でなく、丘の上であることが分かった。見下ろすと、壮大な敷地の――まるでテーマパークのような――施設が見えた。
「起きたかい?」
振り向くと私の座って居る位置よりも少し高地に、赤い戦士の姿があった。
男らしい体躯に、金色のバイザーが眩しい。
彼は変身を解いた。

高身長、精悍で逞しい顔つきの青年だった。

「気分はどうだい、かわいいお嬢さん。」
「かわいいお嬢さん!?」
私はつい叫んだ。そんなこと言われるのは初めてのような気がした。
「ハハハ…からかってすまない。お嬢さんいや、“猫野瑠々”。」

私がその疑問を口にするより早く先方がそれを答えた。

「何で知ってるかって?そりゃ、我が学園が目をつけている人材のことは1から10まで調べるのが我らのやり方でね。言ってしまえば君の経歴から読んだ漫画の冊数、君が今中3で、進路に悩んでいることも全部知っている。今度は君がこちらのことを知る番だ。」

私の理解が追いつくより彼の舌の動きが早かったのだが。
おかまいなしで彼は丘の下の施設を指さした。

「私は戦隊学園二年伝説クラスにして、首席である、志布羅一郎(しふ らいちろう)だ。レジェンドレンジャー LEGEND RANGER という戦隊ユニットを組み、世をあらすものと戦っている。我が戦隊には欠員が出てね。現在4名しか居ないんだ。察しの良い君ならわかるだろうが。」

彼は冊子を取り出した。
私はそれを手で貰い受ける。つるつるとした表紙、『戦隊学園 入学案内』と印字されていた。

「49ページ目に書いてあるんだが、伝説クラスは学園の中でも特に超高倍率でね。生半可な才能と経験と鍛錬では到底手が届かないんだが。」

羅一郎は屈みこむと、にっこりとほほ笑んだ。
「君のそれは、生半可じゃあ、ないよね。」
私は何故かどぎまぎして言った。

「理解はした。でも私に何の得があるの?」
「うん?」
羅一郎は「わかってるだろ?」とでもいうように眉を動かした後。

「つーまらない日常にはもう、オサラバしたいだろ?」


ルルはぽかんとしていた。


「君がプロの戦隊を目指さないのは、実に勿体の無いことだ。絶対試験に受かってくれと、信じて待つよ。」

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