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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/08/27(金) 02:11:33
七海は梯子を登って自分の部屋に戻った。楓の分のタコライスを持って、ちゃんと温め直して。
8時前なのに、楓は二段ベッドの下段で布団にうずくまって寝ていた。
電気が点いていたことから察するに、楓は布団に入って寝たふりをしているのだろう。寝息も聞こえない。
中学生までの七海は気まずくなった相手とはそれきり絶縁になるほどの意地っ張りだった。
だが初めて親友にまでなれた楓とはそんな簡単に別れたくない。七海は優しく声をかけた。
「夕飯だよ。」
楓は枕に顔を埋めていて返答がない。
「狸寝入りってバレてるよ。このタコライスは豚之助にあげちゃうけどそれでもいい?」
またもや、無視。
「ねぇ無視すんなよ。」
「うっさい!」
楓は七海の腹を蹴った「あっ!」タコライスが床に散らばる。
「寝てんのに話しかけんな、あっち行け」
「このっ」カチンときた七海は楓の髪の毛に掴みかかる。
「暴力だ暴力!」
「どっちが先だよ?」
「ゴー!」
2人は変身して睨み合う。
楓はかまきりの鎌を持ち出し、七海はタクトを楓に向けた。
「私、謝りに来たんだけど。こんなことしたくないし、お互い様ってことで武器を下ろさない?」
「は。黙れ」
いつもの楓とは思えない凶暴な言葉づかいで。
「何でいつも命令口調なの?おかしいじゃん。あたしの身分が低いって知って、どう思ってるの?」
「そ、そんなの!」
七海はすっとんきょうな声を出す。
「別に何とも思ってないよ!私も孤児だし五分五分じゃん。」
「でもキャバレンジャーのことは馬鹿にしたよね。詰まりあたしの家族を馬鹿にしたってこと。もう信用しない。出てってよ!」
楓は鎌を振り上げる。
「マズルフラッシュ!」
七海のタクトが火を吹く。楓は「ぎゃあ」と言って鎌を取り落とした。
「このままだとあなたを大怪我させちゃいそうで、それは嫌だから。わかった。出ていく。じゃあこれきりで。左様なら。」
七海は部屋を後にした。
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