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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/05/22(土) 23:13:32
入学式は終わり。
私は長い列の最後尾について、長い渡り廊下を歩いていく。青い空の下に校庭が見渡せた。
広い。
今も正にカラフルな衣装に身を包んだ上級生たちが、ボールを打ち合ったり、走ったりと自主練習をしている。
さらにその後方にはうっそうとした森が見えている。
パァン!と1つ銃声があり、列は立ち止まって一斉に森を見た。
「ショットマンだ、気にするな」と上級生の声。
列は再び動き出す。廊下はフォークのように5本の道に分かれており、それぞれに上級生が立って声を上げていた。
「文学/生物クラスのオリエンテーションはこちらでーす!」
私は指示通りに廊下を歩き、校舎へと入って行った。
階段を上がり、教室に入る。
綺麗な木の机が並び、そこに座る生徒達もまた綺麗な制服を着ていた。
自分の席を探すのは簡単だ。一番前の、一番端の席。
|あずさわ ななみ|
| 小豆沢 七海 |
自分の名前が書かれた紙が置いてある。
あたりだ。
私は椅子に腰かける。慣れない制服はやや着心地が悪かった。
先生の姿はまだ無く、皆落ち着きなくもぞもぞしたり、初めて出会う級友と挨拶したりしていた。
ふと後ろから肩を叩かれる。
「こん!」
カチューシャを付けたショートカットの女の子が話しかけてきた。私は彼女から透き通った海の色を感じる。
「あたし伊良部楓(いらぶ かえで)!よろ!」
「はじめまして!私は・・・」
「わかるよ!あてるよ小豆沢七海!すっごく目立ってたからねぇー!」
「そう?」
彼女はやはり珍しく思ったのだろう、私の顔をまじまじと見る。
「あ、変な意味でじゃないよ!何ていうんだっけ、」
「アルビノです。」
「あるびのー」
彼女はいるかのストラップの付いたスマホを取り出して調べた。
「シキソケツボウショウ?」
「それかなー。私はそう呼んだことはないけど。」
「あっ知ってるかも!ウーパールーパーとか、ジャパニーズホワイトとか、高級ペットとおんなじなんだ!すご!あたし障害差別とか全然ないから安心してー!」
私はその言い方に違和感を覚えた。
「私は、ペットじゃないよ。」
彼女の顔が曇る。
「あ、ごめん!そういうイミじゃなくて・・・」
「わかってるよ。それと、これは遺伝子疾患であって、障害とは違う。」
私は小指で瞼をちょんと触って。
「目が悪い、これは障害。」
「へ、へぇ・・・。」
彼女は今度は私の目をじっと見る。私の青い目が、外人さんみたいで綺麗だと、そう思っているのだろう。
「下の毛も白いの?」
「いやだあ!もう!」
しかし彼女は悪い人ではない、そう思った。
「よろしくね。」
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