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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/05/23(日) 00:04:41

階段の先は屋上だった。
広い校庭、色とりどりの校舎、旅館のような学生寮、その眺望はまるでテーマパークの様だった。
「広いだろう。ここが全て学園の敷地だ。」
「先生、あれは何ですか?」
生徒の1人が遠くに見える天文台のようなものを指さして問うた。
「あれは西の砲台だ。この学園に侵入しようとする敵を迎撃する要塞の1つで、砲撃を主とする戦隊の練習用にも使われる。戦隊学園は敵も多いんでね。」

敵――

「しかし残念だな、さっきまではあんなに晴れていたのに。」

曇天だ。

「私は曇りの方が好きだな。」
「え?」
小声で呟いたが楓に聞かれてしまう。
「七海ちゃん、暑いの嫌いなの?」
「まぁね。」

「では早速実践を始めよう!」
先生はパンと手を叩き、生徒たちの視線を集める。
「ガクセイ証、交付!」
指揮棒をピッと上げる。
すると突然私の目の前に白いカードが現れた。私は宙に浮かぶそれをキャッチする。
そのカードには戦隊学園の紋章(赤・青・黄・緑・ピンクの輪が交じり合う)と、私の名前が印字されていた。
そして、顔写真も。

真っ白い髪に青い目、ツンとした表情の、私。
「やっぱり私だね。」

「うわ!うつり悪!これ面接の時撮ったやつ?」と楓。
全生徒がこのガクセイ証を手にしたようだ。

「それは君たちが戦隊学園の生徒であるという証であり、同時に――変身アイテムである。」

「変身アイテム?」
生徒たちはザワついた。
先生はにっこり笑って。
「難しいことではない。ガクセイ証の裏にある小型マイクに、“変身”と唱える。すると校長室からカラーが送られ、君たちは戦士に変身する。それだけだ。」

「でも先生。一体どんな戦士になるんですか?」と天堂茂。

先生は生徒たちの顔を順に見ながら話す。
「色は君たち1人1人の潜在能力によって決まる。基本5色に加えオレンジ・藍・紫・黒等が確認されている。最初は皆同じようなシンプルな外見だろう。技を磨いていくことによって装備が進化し、世界でただ1人の戦士と成れる。」

私はツンツンと脇腹を小突かれる。
「ね!どういうイミか分かった?」
楓が耳打ちしてきた。
「楓って頭悪い?」
「ざけんなっ」

私には大体、理解できた。

「生まれたその瞬間に割り当てられた“色”ってことかなー。私には見えているけど。」

もうちょっとでキスできそうなくらいに顔を近づけて。
「楓は青、それも濃いめの。」

「ネタバラシやめてよっ!」

「では、一斉に変身してみよう。」
先生が言った。

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