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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/06/04(金) 22:56:11
Mt.(マウント)マンス
――機械で出来た人工の山であり、イヤー軍の本拠地である――
まるで廃墟の中を歩いているかのようだった。
「不気味ですね。」
自分の声がぐわんぐわんとこの空間をこだまする。
志布羅一郎が振り向いて「どうした?」という顔をする。
「先生、私おなかすきました。このままだとダウンするかもです・・・」
「さっきL-jetで食べた分が全てだ。腹が減っては戦はできぬと言うが、その反対も然り。満腹になると眠くなる。少しおなかがすいているくらいが一番神経が研ぎ澄まされるんだよ。」
「なるほど。」
私は適当に相槌を打った。
私たち6人は高台に立つ。本日も曇天。
見渡す先には巨大なビル群が、ジェンガの様にアンバランスに積まれていた。そのどれか1つを取っても今にも崩れ落ちそうだ。
これが敵の本丸か。
ブルーが呟いた。
「二千は居るな。」
鳥肌が立った。
不格好な天守の周りはしづかであった。
だが眼下をよく見ると、灰色の迷彩に身を包んだ無数の兵士たちが、銃を構えまるでチェスの駒の様に佇立している。
「デー兵だ。」
「動かないの?」
「命令があるまでは――もしくは、こちらが攻撃しない限りはね。七海、これは実に簡単な任務だ。」
先生は私の背中に回ると、両肩に手を置いた。
「校長からのお達しは、将軍プリエルの死でお留守になったイヤー軍の本拠地を攻め落とすこと。それはつまり、世界を征服せしめんとすイヤー軍を、壊滅させろということだ。」
「壊滅?」
今日はレジェンドレンジャー出動の日、そうとだけ言付かっていたのだが。
「か、簡単な任務じゃないんですか?」
「君が居れば、簡単なんだよ。」
先生は私の髪を撫で下ろした。
「終わったら2人で食事をしよう。」
「や、」
私は咄嗟に振り向いてその手から離れた。
先生は困った顔をして笑った。
「嫌だったかい?」
「嫌ではないんですけど・・・」
私はサングラスを下ろすと、青い瞳で先生をじっと見た。
先生はにっこりと笑った。
「ごめんなさい。私、先生のことすきかもです。」
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