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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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81 :6
2021/06/04(金) 22:59:46

レッドの指揮の下、LRは各々の武器を持ち坂を駆け下りる。

「カラーガード!」
ピンクは大きな旗を振りながら先陣を切り、兵士たちを蹴散らしていく。

続くのはシンバルのグリーン、バスドラムのイエローから成る打楽器組。大きなモーションと共に道を切り開く。

私とブルーはその後に続く。
バチバチと、ビルが二発目のレーザーを充填し始めた。
「了さん!」
「かわれ!」
私はしゃがみ、後ろに居たブルーがトランペットを吹いた。突き抜けるような快音が飛び、ビルを破壊した。

鼓笛の通り過ぎた後、指揮者であるレッドがしんがりを務める。

「将軍の仇!」
伏兵の1人がダガーを手にレッドに飛び掛かった。
ピッと指揮棒をかざすと兵士は空中で身動きが取れなくなる。
「Dress Right Dress」
指揮棒をひょいと動かす。
「お次はLeft」
兵士は右に左にと、操り人形のようにブンブンと振り回された。
「やめてぇー!」
「了、お前に任す。」
兵士はトランペットのすぐ先に放り出された。金管楽器はプゥンと唸り声をあげ、兵士はバラバラになった。
「チューニングの足しにもならん。」


私たちは数多の兵士を相手に、順調に進軍していた。
そう思っていた。しかし私の前を行く3人の身に何かが起きた。
黄・緑・ピンクの3人が手足をばたつかせ、私の後方に吹っ飛んでゆく。

私は何か強大な兵器や、熾烈な攻撃が3人を襲ったのだと考えた。
だが。

荘厳で、風格のある音色が聴こえた。


何ということだろう。
戦地のど真ん中に、グランドピアノが置いてある。
正装した男性がピアノを弾いていた。
男性の頭はすっぽりと立方体の箱のようなものに覆われていた。その箱にはにこちゃんマークが書いてある。

男性は鍵盤を叩く。
心臓を直接叩かれたような衝撃が走り、私は苦しみのあまりのけ反った。
「しっかりしろ!」
背中を支えられる。
「先生、これは・・・!」
「Erlkönig(魔王)だ。お前を殺しにかかっているぞ。」

先生は敵に向けて三日月形に指揮棒を振る。
「クレッセントムーン!」
バコッという音がしてピアノから火花が散り、演奏は一時中断する。
敵は低い声でこう言った。

「音楽で、勝負しろよ。」

「お前がイヤーだな?」

「Ja. 私がイヤー軍総統、イヤーである。音楽には音楽で勝負しろよ。」

「いいだろう。」

私はというと、リコーダーを握りしめていた。
先生は赤いマスクをこちらに向け、こくりと頷いた。
私も頷く。
ウインドウェイ(息を吹き込むところ)をマスク越しに口付け、優しく息を吹き込んだ。

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