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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/06/04(金) 23:13:32
真っ白だった視界に、ぼんやりと色が戻ってきた。
「ん――」
私は固いベッドの上に居た。
自分の部屋でないのは確かなようだ。左向きに寝転がると、薄暗い机の上で見慣れぬ置時計が針を打っている。
今が何時なのか、目が霞んで読み取れない。
体を起こし、顔をぐーんと時計盤に近付ける。
針は4時10分を指していた。
午前だろうか。午後だろうか。
薄暗い部屋はパーテーションに仕切られており、隣の部屋から漏れている光で何とか周りが見渡せる程度だった。
私はベッドから足を下ろす。
「っ!!」
しかしすぐには立ち上がれなかった。ひどい頭痛と眩暈、全身がズキズキと痛んだ。私はベッドに座り込む。
この痛みでようやくわかった。
「私、生きてんだ。」
私はあの地獄のような場所から生還した。
それもおそらく、1人だけ――
「!?」
誰かと目が合った。
青い目が私を見ている。いや、青い目の持ち主などそうそう居ない。
「やっぱり私だね。」
机の上の小さな鏡に、私の顔が映っているのだった。
「見えてる。良かった。」
視力が戻った事には驚いた。
「きっと先生が、最期に奇跡を起こしてくれたんだ。」
時計と、鏡と、もう1つ。机の上にはピンクの包みの小さな箱が置いてあった。
「なんだろ。」
手に取ると軽かった。べりべりと包装紙を剥がし、小箱の蓋を開ける。
いいにおい。
「チョコだ!」
バレンタインデー、カレシに送るチョコの様だった。(七海にそんな経験はないのだが。)
犬や猫など動物の形をしたカラフルで賑やかなチョコレートが6つ入っている。
私は空腹のこともあってその1つをすぐさま口に放り込んだ。
「酸っぱ」
ことのほか酸味が強かった。
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