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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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92 :17
2021/06/04(金) 23:15:59
午前4時半。
「ぐずっ」
「大丈夫?」
私はベッドに座り込んで鼻をかんでいた。
「こんなに泣いたの、生まれて初めてかもしんない・・・」
楓はくじらの描かれた青いパジャマを着て私の隣に座っている。
「・・・似合ってるね、そのパジャマ。」
「ありがと!」
楓はにっこり笑った。
「また話せてめっちゃうれしい。そういえば会ったの入学の日だけなんだよね!もっとずーっと、一緒にいるみたい。」
「だね。」
色々訊きたいことはあるが、一番最初に浮かんだ質問をする。
「今日何日?」
最後に記憶があるのは4月6日なのだが。
「15いや、16だよー。もう授業も大分進んでる。あたしが退院したすぐ後に七海ちゃんがICU(集中治療室)入ったから。ほんと、入れ違いって感じ。」
私は驚嘆した。
自分が10日間も眠っていたことにではなく、楓が恐ろしい体験を平然と話していることに。
「――楓が大怪我したのは私のせいだよね。」
私は楓が死んだと思っていた。だからもう二度と、償えないものと思っていたけれど。
「本当にごめんなさい。」
「は」
楓はものすごくいやそうな顔をした。
「やめんか!生きてんだから、それでいーじゃん!それよりも七海ちゃんが心配だったよ。」
「え。」
「先週ね、羅一郎先生たちのお別れ会があったんだ・・・。」
私のみぞおちがズキッと痛んだ。
もうわかってはいたけれど。
「私以外、みんな殺されたんだ。」
「悪夢だよね・・・。」
「悪夢なら、まだいいよ。悪夢ならば醒めるから。夢じゃないこれは現実。私は明日からも、生きて行かなくちゃ。」
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