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193.『戦隊学園』制作スタジオ
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2021/06/04(金) 23:21:23
午前10時を前にして、購買では慌ただしく開店の準備が進められていた。
私はベンチに腰掛けその様子を眺めている。
まるで蟻の様にてきぱきと動いている従業員。あの1つ1つに感情があって、ドラマがあって、人生があるなんて不思議だ。
思えば私もちっぽけな1人。
私がクラスを飛び出したことなんて、誰にとってもどうでもいいことで・・・。
でももうあんな所には居たくない。居られない。
私はふと親友の顔を思い出した。
「今何してるかな。」
楓にメッセージを送る。
kezuri(けずり)というアプリ。音声を文章に変換して送る、2041年のトレンドだ。
『授業抜けてきちゃった。』
ものの数秒で返信が来た。
『まじ?』
この短いメッセージを貰うだけでも私の心は軽くなる。
続けてスマホに音声を吹き込む。
『午後、暇なんだけど。一緒に学校探検でもしない?』
『いいよ!ちょうど午後の授業、“変身と名乗りの作法”ってタイクツなやつだからさ!今どこおる?』
『購買の近く。』
『え。』
一寸間があって。
『右、むいてみて!』
私は言葉に従いスマホから目を離し右を向いた。
なんという偶然。
「楓!」
「やほ!」
10mほど離れたベンチに、楓が座って手を振っていた。
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