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212.小さな殺し屋さん
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14 :ねむねむ
2021/09/25(土) 10:48:04

「……私は、普通の女の子になりたかった。
 ハッキングの技術も、ナイフの使い方も知らない、普通の女の子になりたかった。
 人殺しなんて、本当はしたくない。」
そう言って、少女は泣いた。
ずっと耐えてきた、少女の心の叫びだった。
「今着ているこのパーカーだって、もとは真っ白だった。
 初めて野村輝樹さん、という人を殺した時もこのパーカーを着ていた。
 すぐに真っ赤に染まった。この色が、ずっと嫌だった。
 殺した人の名前はすべて覚えて、墓に行って花を供えて毎日謝った。
 でもそれで罪悪感が消えるわけじゃないし、殺した人の命は戻ってこない。
 それでもただ、謝るしかなかった。
 ずっと、人を殺す前も、殺すときも、殺した後も、悲しくて苦しくて申し訳なくて。」
真っ赤に染まったパーカーを着て、返り血をポタポタと髪から垂らしながら、泣きじゃくっている。
「初めて人を殺す前に、髪を染めた。
 金髪にした。
 早く警察に捕まえてほしかったから、目立つ色がいいと思った。
 警察官と鉢合わせて殺したのは、あの人がもともとターゲットだったから。捕まりたくないわけじゃなかった。」

皆が恐れる、【小さな殺し屋さん】も子供だった。

「お父さんとお母さんに会いたい。
 誰かに愛されてみたい。
 お金じゃなくて、愛が欲しい。
 【小さな殺し屋さん】じゃなくて、『私』を愛してほしい。
 帰ったら「おかえり」って、お父さんとお母さんに言われたい。
 いただきますも、ごちそうさまも、家族でっ………みんなで一緒にしたかったッ!!
 もう、お父さんとお母さんにハグしてもらえることだってない。
 誰かの「行ってきます」も、「ただいま」も聞くことはできない。
 愛してるよ、大好きだよ、って言ってもらえることもない。
 喧嘩もできないし、仲直りだってできない!!!!」
あの拷問事件から5年経って、少女は中学生くらいの年になったはずだ。
それでも、心は、愛されたいという気持ちは、あの頃のまま止まっているのだ。
「たくさん人を殺してごめんなさい。
 その分たくさん謝るし、お金も払うから、お願い。
 私のお母さんとお父さんを、返して……!!!」
お金も払う、というその言葉で、少女がどんなに治安の悪いところで過ごしていたのかが伝わり、痛々しさを増す。
お金がすべての世界で過ごしてきた少女。
大人としては、「よく耐えたね。」と言ってあげたいような気もする。
でも遺族としては、どんな理由があってもなお、許せなかった。
でも、同じ悲しみを少女も味わっていることを知り、心が揺れる。
大人の俺でもこんなにつらいのに。少女にとって、どんなにつらい悲しみだったか知れない。

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