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212.小さな殺し屋さん
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15 :ねむねむ
2021/09/25(土) 10:48:26
それでも、一つだけ少女は間違っている。
「あんたを愛しているかは知らないが、【小さな殺し屋さん】じゃなくて、あんたを見てくれていた人はいたよ。
それに気づかなかったのは、あんただ。
その人は、墓に花を供えて泣いているあんたを見て、同じように悲しんでくれていた。
あんたのことを、【小さな殺し屋さん】と呼ばず、「あの子」って、まるで我が子を呼ぶかのように呼んでいたよ。」
少女が目を見開く。パーカーに涙がしみていく。
赤色じゃないモノが、悲しい色をしたそれが、パーカーに染みていく。
「お願い、します。」
しゃくりあげながら、少女は言った。
「あなたが、持っているその、銃で、私を、こ、殺して、ください。」
俺は、静かに見返すだけだった。拳銃は構えない。
「お父さんとお母さんに会わせて……罪を償わせて……!
殺してっ……殺してッ!じゃなきゃ殺す!」
ナイフを持った手に力を込め、泣きながら少女は叫んだ。
「それは」
「早くっ!!!!」
俺の言葉を遮り、ナイフを握りしめ、一直線に走ってきた。
俺が狙いを定めやすいようにだろう。重心を少しも傾けずに。
バン!!!!!
拳銃の発砲音がした。
少女が、目を見開き……そして、ゆっくりと倒れる。
パーカーに、少女自身の赤色が染みていく。
「あり、が、とう……ごめ、んな、さい……」
と言って一滴の涙と笑みを浮かべ……それが少女の最後の言葉だった。
後ろを振り向くと、坂本がいた。
彼が拳銃を握っていることから、彼が撃ったのだろう。
肩で息をしている。今、到着したばかりで、俺が殺されそうになっていたように見えたに違いない。
少女は、俺を殺す気などなかった。
人殺しなどしたくないと言っていた人が、自分の意思で人を殺すとは思えない。おそらく、もし撃ってもらえなければ、俺から拳銃を奪って自決するつもりだったのだろう。
坂本が言った。
「あの男、ついさっき死んだらしい。」
少女を見守っていた男のことだろう。
「何か悟ったような顔をして、悲しそうに笑みを浮かべ、服毒自殺したそうだ。」
……少女が死んだことが、伝わったのだろうか。
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