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212.小さな殺し屋さん
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16 :ねむねむ
2021/09/25(土) 10:49:03

私は倒れながら見た。
自分の両親の姿を。

『私もやっと、そっちに行けるんだね。』

涙を流し、私は最後の言葉をつぶやいた。

「あり、が、とう……ごめ、んな、さい……」

両親にだけでなく、目の前の警察官にも、遺族の人にも、そして何より殺した人全員に向けて。
死ぬ前に、言わなければならないと思う言葉を言い終えることができた。
そんな私を、両親は暖かく見守ってくれていて、そして。
「あなたは天国には行けない。だから、『一緒に』地獄に行きましょう。」
「……なんでお母さんたちまで……?」
「ごめんね。お母さんたちが殺し屋だったから、あなたをつらい目にあわせてしまった。
 本当に、本当にごめんね。」
強くかぶりを振る。新たな涙があふれてくる。
「一緒に地獄に行こう。
 死んでも、あなたは私たちの大切な娘よ。
 ずっとずっと、愛してる。」
私は、ずっと言われたかった言葉を聞けて、泣いた。
たくさん、たくさん、泣いた。

この温もりを、忘れない。もうこの手を離さない。

今から地獄に行くというのに、私は幸せだった。
「私のことも忘れないでください。」
「……あなたはッ!お墓に行くとき、送り迎えしてくれた……!」
「私だって、あなたのことを見ていました。
 あなたに罪があるのなら、私も一緒に背負いますよ。」
「ごめんなさいっ……気づけなくて、ごめんなさいッ……!!」
「もう、いいのです。さぁ、行きましょう。私も一緒に、行きますから。」
「ありがとう。ごめんなさい。ありがとうっ……!!!」
幸せだった。ただただ、幸せだった。


もう、何もいらない。


ありがとう……………。


少女たちは、闇に消えていった。

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