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212.小さな殺し屋さん
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50 :ねむねむ
2022/01/17(月) 19:12:28
番外編
No.1 『ひとりぼっちの彼女』
ー25年前ー
「なぁ、野村。」
「なに?」
「アイツ、髪の毛、金髪にしてるぜ。やばくね?」
ギャルではなかった。
どちらかと言えば、黒髪のショートカットがよく似合うような、大人しい、だが少し大人びた子だった。
「なんで染めたの?」
「いや俺は知らねぇけど……ほら、アイツの家庭って複雑じゃん?まぁ、アイツも寂しいんじゃね?」
親に愛されていない子だった。
だから気を引こうとしたのだろう、よくそういう……不良じみたことをしていた。
僕は知っている。そんな彼女に、いつも熱い視線を向ける人がいることを。
だがその熱い視線は何だか変だった。
どちらかと言えば、ストーカーよりのような……少し怖い目だった。
その彼の名は、山本といった。
「ねぇ、彼女のどんなところが好きなの?」
僕が日直の日だった。
職員室に日誌を届けに行く僕と、担任に用事があるらしい山本。
必然的、というか、なんとなく一緒に行くことになった。
その時、なぜかは未だに分からないが、そう聞いた。
聞かなければ良かった。
あいつと関わらなければ良かった。
そう後悔するのは、僕が大人になってからの事だ。
この時は、まだ知る由もなかった。
僕の質問に、山本は恍惚とした表情で答えた。
「だって……素晴らしいと思わないか?
愛を求めてもがく姿は哀れだが美しい。
これ以上の芸術はない。
いや、芸術とひとまとめに言っていいものではない。
芸術を超えた……なにかだ。
なんて言えばいいんだろう……色で表すことにはできない、そう、絵にすらできない何かだ。
人の心に突き刺さる……そんな……何かだ。」
なるほど、かなりの変質者だったようだ。
「彼女」を愛しているのではなく「彼女の姿や行動」に何やらときめくものがあるということだろうか。
僕にはよくわからなかった。
ただ、なんとなく嫌な予感がした。
コイツと関わるとヤバいかもしれないという予感。
だがそんな予感はすぐに消え去ることになる。
なぜなら、僕は、それ以上に戦慄する出来事に立ち会ってしまったから。
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