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212.小さな殺し屋さん
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84 :ねむねむ
2022/01/24(月) 20:53:14

No.4 『彼女の最期』

あっという間のことだった。
彼女はふっと笑みを浮かべると、
「知ってたよ。こんなことしても、嫌われるだけだって。
 お母さんには愛されないって。
 知ってたよ……」
そう小さく言って、あきらめたように笑った。
彼女は最後まで、独りぼっちだった。
寂しそうだった。
そのまま、一筋の雫を頬に伝わせ、彼女はその手に光る刃物を自分の胸に突き立てた。
よく見ると、その手は細く儚かった。

彼女は、儚かった。

床に広がる血の海に、自身の悲しい赤色を交えながら、沈んでいった。
その儚い命をすくいあげるかの如く、そよそよとやわらかい春風が通る。
先生も、僕も、救急隊員や警察の人たちが来るまで動けず、ただじっと彼女を見つめていた。
やわらかい春の日差しに抱かれながら、彼女は静かに眠っていた。
とても、美しかった。
ぽとりと、彼女の頬から雫がこぼれ落ちた。
つい先程、彼女が流した涙だった。

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