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87 :ねむねむ
2022/01/24(月) 20:55:41
No.6 『再会』
待ち合わせ場所のカフェに行くと、すでに山本はいた。
にっこりと、少し不気味ともいえる笑みを浮かべてこちらに手を振っている。
「君、彼女いる?」
いきなりそう聞いてきた。
「いや、いないけど?」
まさか彼女が出来たから誰かに自慢したかったとか言うんじゃないよな。
あからさまにムッとした感じで返すと、山本は目を細めてさらに言った。
「欲しいの?」
まるで俺を試しているかのような……そんな目で、俺をじっくりと見ている。
「そりゃ欲しいだろ。」
「でも合コンとかには行ってないでしょ。」
「行ってねーよ。」
半ば不貞腐れながらそう答える。
じーっとこちらを観察している山本の目に、何か恐ろしいものを感じ、ふっと目をそらした。
窓から外を見ると、ちょうど交通事故が起こった。
赤信号を無視して歩行者を吹き飛ばすトラック……
宙を舞って鮮血をまき散らし、歩行者は道路に打ち付けられた。
ふいに、あの日の事件がフラッシュバックする。
ぐしゃ、という音を聞いた気がした。
「ねぇ、君はなぜ彼女が欲しいと思いながらも積極的に行動しなかったのかな?
合コン行ったりさ、いくらでも方法はあったのに。」
人の恋愛事情を探って何が楽しいんだろう。
コイツの目的は何だろう。
ただ、目の前の山本が薄気味悪かった。
面白そうに俺を見ながら話を続ける山本。
「面倒くさかったから?違う。
そこまでして彼女が欲しいわけではなかったから?違う。
伝手が無かったから?違う。」
そこでいったん言葉を切り、満足げに俺を見た。
彼は、窓の外を指さして言った。
「君は、あの時、恋してしまったんだろう?
僕みたいに、彼女の『哀れな姿』にさ。」
にやりと不気味に笑いかけてくる彼は、気持ち悪かったが、少しだけ間違っていないところもあったので、
「まぁな。」
と頷いた。
実際、彼女は美しかった。
「僕、今さ、ゲームを作ってるんだよ。」
「は?」
いきなりゲームの話をされて戸惑う。
「僕はね、彼女をゲームにしたいんだ。」
「何言ってんだお前。」
冗談にしても、とても普通の人間が言うこととは思えない。
眉を顰め、その言葉の意味を考える。
「彼女の哀れな姿を、美しい姿を、ゲームにしたいんだ。」
俺は、ひらめいた。
そうか、それなら……
「わかった。手を貸す。」
真剣な顔で頷いた。だが、と付け加える。
「最後の仕上げ、少し俺に手を加えさせてくれ。」
山本は了承し、契約が成立した。
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