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253.バカセカ番外編スレ
 ┗12

12 :やっきー
2022/05/05(木) 18:58:48

[奏芽目線]

力を使った影響で起こっていた目眩も、暫く休むと落ち着いた。
「大丈夫か?」
そう、心配そうに尋ねる霞月に、私は笑って返した。
「うん、もう平気。そろそろ進もっか」
可能なら、出来るだけ早くここから出たい。そのために前進は必須だ。体調が回復したのは本当だし、それなら進んだ方がいいに決まっている。
霞月はちょっとだけ眉間にしわを寄せた。心配してくれてるのかな。
霞月が頷くのを確認して、休むために座っていた体を立たせる。

「どこに向かう?」
自分で聞いておいてなんだとも思うけど、わたしはあの四角錐の建物を目指すべきだと思う。どうしてかはわからないけど。そんな気がする。
霞月も同じことを思ったらしく、遠くにそびえる四角錐の建物を指した。
「僕は、あそこが気になる。奏芽がいいなら、とりあえずあそこを目指したい」
異論はない。私は真剣な面持ちで首を縦に振った。
「うん。私もそう思ってた。じゃあ、行こう」

霞月の顔に、不安の二文字が浮かんだ。……そしてきっと、私の顔にも。私は霞月に笑いかけた。自分に言い聞かせることも目的の一つに、励ましの言葉を送る。
「きっと大丈夫だよ。これまでだって二人で色んなことを何とかしてきたんだから、今回だってどうにかなるはず。きっと、大丈夫。きっと、帰れる」
そう言う私の体が微かに震えていたことを、恐らく霞月は、気づいていた。
「わかってる。行こう」
だけど霞月は気付かないふりをしてくれた。霞月なりの優しさだ。私が震えていることを見られたくないと思っていること察して、わざと私の前に立ち、歩き出す。

目的地は定まった。だけど、予測不可能な迷路が私達の邪魔をして、思ったように進めない。それでも何とか足を進め、ようやくここに来たはじめの地点よりの四角錐の建物に近づいた、と思える場所に辿り着いた。そこには、壁が一部剥がれ落ちた、あるいは崩れた白か灰かわからない色の廃墟があった。

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