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253.バカセカ番外編スレ
 ┗22

22 :げらっち
2022/07/30(土) 01:35:29

真っ白い校門を出ると、真っ白い町に出た。だがそこはルルの見慣れた真理類町と、地形を大きく異にしていた。
住宅のかわりに白くてソリッドな壁が、通路のようなものを形作っている。

「ナニコレ?」とルル。
「迷路。」とリリ。
「ええ!?」
「知らない?あみだくじとか間違い探しとかと一緒にクイズブックに載ってるやつ。」
ルルはぽかんとした。
「おそらくあのランドマークがゴールだから、あそこを目指さないと。」
リリは白い指で空を指した。どんよりと白い空に、うっすらと、白い円錐がそびえている。
「学校は反対の方向にあったけど、爆音がしたから立ち寄っただけ。引き返そう。」
リリは競歩のようなスピードで、迷うこともせずに通路の分岐を歩いて行った。ルルはそれを追った。しばらく進むと、地面に小さな氷の結晶が落ちている所に着いた。
「残しておいたんだ。あちこちにあるよ。」
「でも、こんな小さいのじゃわかりにくくない?白に白だし!」とルル。
たしかに白い道に白い道標では目だちにくい。だがリリはルルの愚問に対し「別に色で見てないから。」と返した。
リリは結晶に込めた魔力を手繰ることで、ルートを把握し、ひいては迷路の全体像を算出しているのだった。ある種、犬がマーキングした匂いを辿って散歩のコースを記憶するのと同じだった。

ところで、通路の壁は3メートル程度の高さに思えた。
160弱のルルとリリならば、超えようと思えば超えられる高さだ。特に身体能力の高い2人なら尚更だ。
「リリ、ジャンプで超えるってのはどう?迷路ってめんどいし!」
ルルの数歩先を歩いていたリリは、立ち止まりもせずに返した。
「じゃあ試してみたら?止めはしないよ。やっても地面に叩き付けられるだけだから。私は回復魔法覚えてないからね。」

ルルは壁に触れていた手を離した。

「同様に、壁を壊すのもオススメしないかな。不可能じゃないけど、ペナルティがえぐいから。しかも繰り返していくうちに重くなっていくっぽいよ。イエローカードを積み重ねるとレッドカード、退場になるかもね。」
ルルはリリの背中に問うた。
「何でわかんの?」
リリは振り向いてニヤリと笑った。

「何度も試したから。」

ルルはドキリとした。
そういえば、ルルが校舎の壁を壊した時も、重圧を受けた。それに建物は完璧に復元された。破壊は、とてもコスパのいい方法とは思えない。

「ここの作り主は、私たちに、ルールを守ってクリアしてほしいと思ってるみたいだね。」

リリがその台詞を言い終わるか終わらないかという時。
リリとルルは、ガクンと脱力感を受けた。体が崩れ落ちるようなことは無かったが、精神が滑落するような、そんな不快感だった。地形に危害を加えたことへの制裁ではない。これは純粋な魔力による衝撃波だ。
ルルはリリの顔を見た。リリは青ざめていた。
「何か巨大な魔力がある。いや、元からあったのかもしれない。今発動されて、顕在化した、この近くで。感覚が掻き乱されて、自分の魔力を見失った。」
大きな咆哮がすれば小さな歌声は掻き消されてしまう。
「あなたも感じたよね?」
ルルはこくんと頷いた。
「私にもわかったよ。行ってみよ!私たちの向かうべき場所かも知れない。」
ルルとリリは、今しがた魔力の使われた場所を、目指すことにした。
「それに、私たちより大きな魔力なんて、滅多に見られないですし!」

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