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253.バカセカ番外編スレ
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23 :げらっち
2022/07/30(土) 01:39:15
「あなた達は、だれ」
先に迷い込んだ者たちが居た。
CGRとは違う、2つの世界から拉致された4人だった。
そして、別の世界に属していた者たちが鉢合わせすれば、齟齬が生まれるのは、道理であった。パンダとコアラを同じ檻に入れても馴染めない。
迷路の少し開けた所。
金髪の幼い少女に問い詰められた黒髪の少年が、どもりながら答えていた。
「誰って、警戒しないでよ。でもごめん、まだ名乗ってなかったね。僕は――」
「他の人たちも来てたんですね!」声が割り込んだ。
ルルとリリだった。
話に横入りするのは、どの世界でもあまり好まれることではないようだ。4人は程度の差こそあれ、皆不快な表情をした。
茶髪の少女だけは、不快と不安と興味を足して3で割って×2したような顔で「また新しい人が!」と言った。
ルルはまず黒髪の少年を見た。
「あなたが――?」
「違うよルル、あっち。」
リリは金髪の少女を顎で指した。
「見たことのないイロだよ。」
少女の金髪は、キラキラと光っていた。
右の瞳は青く、リリの眼を想起させた。対する左の瞳は、白かった。黒目にあたる部分が無く、白目の中心に直接瞳孔が穴を開けているようで、不気味だった。
しかしその不気味さも、美しさに加勢して、少女の存在感をふちどっていた。少女はルルたちの世界ならば小学校低学年というような外見だったが、それでもかわいいという言葉を送れば失礼にあたりそうだった。ただただ綺麗で、神々しかった。
ルルたちはパッと見で、彼女が自分たちとは違う世界から来た者だということに気付いた。
ルルはちょっと腰をかがめて、少女に声を掛けた。
「はじめまして、私はルルです!さっきすごい魔力を感じましたが、あなたですか?」
少女は虚ろな目でルルを見た。そして、見た目の割には低い声で、飾りのない疑問を突き出した。
「だれ」
ルルはポカンとした。
「だから、私はルルです!猫野瑠々!年は――」
「名前は、どうでもいい。だれかってきいてる」
少女はふいと視線をずらし、同じ世界から来たであろう、金髪の少年の元に引っ込んだ。
その少年の髪も、少女ほどではないが輝いていた。頭頂部は金色で、毛先に向かうにつれオレンジ色になっていた。少女と同じくらいの年の、端正な顔立ちの少年だった。
「ひなた、大丈夫か?あんな奴らほっとこう。」
ひなた、というのか。
ルルは困惑してリリを見た。リリはリリで怪訝な顔をしていた。駅の通勤ラッシュでサラリーマンに肩をぶつけられ、謝罪も不十分なまま立ち去られたOLとよく似た表情だった。
そこに、黒髪の少年が声を掛けた。
「やあ、人が増えて心強いよ。いきなりだけど、この変なセカイから出るのに、助け合いたいんだけど……」
ルルは「モチですよ!」と言った。「あの子は?」ルルはひなたと呼ばれた少女のことを尋ねた。
「僕たちが助けたんだよ。でも逆に助けられちゃったかな。」と少年。「あの子が化け物をぐしゃぐしゃに丸めて、ボンッてした。あんなのはじめてだ。」
少年は金髪2人とは違い、ルルと大差ない、平凡な容姿だった。
「もしかしたら、地球って星を知ってるんじゃないかと思うのだけれど。」とリリ。
「もちろん知ってるよ。それは僕たちの星だ。」
「じゃあ同じ世界から来たんですね!」とルル。
「年号は?」とリリ。
「���年。」
音声が混濁した。
彼らが元居た世界は、地球であって、地球ではなかった。別の世界の、別の宇宙の、別の地球だ。ルルたちの地球とは、同じではなかった。
「僕は霞月。こっちは奏芽。」
霞月と名乗った少年は、相棒であろう少女を紹介した。オレンジがかった茶髪、面倒見の良いお姉さんというような雰囲気だ。
2人はルルと同じくらいの年齢に見えた。
「やほ!奏芽だよ。よろしくね。私たちは2人で驛「譎「�ス�ュ驛「�ァ�ス�ッ驛「譎擾っていうヒーローをやってるよ!」
ルルとリリには、彼らのヒーロー名が理解できなかった。
何かは受信したが、ルルたちの世界には無い言葉のため、文字化けした。
霞月と奏芽の間では、問題なく言語がつながったらしい。年少組はそもそも自己紹介に興味を持たないようだったが、その言語は理解できなかったのではないか。
であれば、CGRという言葉も、他の世界から来た者たちには通じない可能性が高い。
リリは簡潔に、「私はリリ。」とだけ言った。
「へ~、ルルちゃんにリリちゃんか!名前が似てるけど、どういう関係?」と奏芽。
「しま――」
姉妹と漏らしそうになったルルの口を、リリは魔法でフリーズした。そして、「ただの知り合い。」と言った。
年少組は、既に4人から離れて迷路を進もうとしていた。
彼らが馴染まないのは、何も別の世界から来たというだけの理由ではないのかもしれない。
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