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253.バカセカ番外編スレ
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26 :げらっち
2022/08/03(水) 16:08:59

《リリ視点》

白って、大嫌い。
白って、無個性で、無愛想で、無風流で、無感動だ。
それは何も、私の体がシロクマみたいに白いからじゃない。例え「普通」の日本人に生まれても、黒人に生まれても、私は同様に白が嫌いだったはずだ。

私はこのセカイが大嫌いだ。
どこもかしこも真っ白で、すなわち無個性で、無愛想で、無風流で、無感動なセカイで、道草なんて喰っていられない。
早く出なくちゃ。

でも私は、色の無い世界でも、イロを見ることができる。
これは色素の無い私に与えられた恩恵であり、同時に皮肉のようにも思えた。色の無い私が、他人のイロを傍受できるなんて。まあ使えるものがあるなら利用するのが私のやり方だ。私は瞳の色素の欠如により、視力が非常に弱い。それをこの共感覚にて補っている。であれば世界はカラフルだ。
私が視認するイロは、そのまま魔法の属性、戦隊のカラーにつながっている。
例えば、ルルは赤だ。今はちっちゃい火種だけど、感情が昂ると、どこまでも激しく燃える炎のイロ。よく延焼したり、自身が黒焦げになったりしている。うまく制御もできていない、ガキのカラーだ。


ときに、こんなイロは、はじめて見た。
あの金髪の幼い少女。まぶしいくらいのイロを放っている。これは白でも、金色でも無い。イロではなくむしろ「ヒカリ」と捉えるべきだ。光の三原色を合わせると白になるというのを身にもって感じることができる。魔力がハンパじゃないな。あ、魔力って言葉で、いいのかな?もしかしたらそれはふさわしくないかも。こっちの世界じゃそう呼んでいたけれど。あの子はどう見ても、私の知っている世界「産」のものではない。違う世界のものを同じ定規では測れない。円とドルを直接比較するようなことだし、換算するのも難しいけれど、それでも私やルルよりも遥かに強い力を持っているのがわかる。何者だろ。それとも、あなたたちの世界じゃ、それが平均的なの?金髪さん。


その少女の元に、ルルが近付いて行った。相変わらずのあほづらで。
ああ、嫌だな。あれが私たちの世界の代表選手だなんて。
ルルは大仰に、背中の後ろに隠し持っていたものを、少女に突き付けた。じゃじゃーんという稚拙なセルフ効果音を伴って。相手が幼いから、舐めてかかっている。少女のほうは、表情を一切変えなかった。クールだね。

「ねえ、おなかすいてない?実は私、お菓子持ってるんだ!おしるる……じゃなくておしるこキャンディって言うんですよ!みんなにひとつずつあげるから、食べてみて!おねえちゃんからのプレゼント!はい!」
ルルは不器用な笑顔でそう言った。

私はこいつが大嫌いだ。
この、性善説の、お人よしの馬鹿の、それでいておセンチな、身勝手な、少女的潔癖症を持った、コンプレックスと、根拠のない自信と、無責任な正義感に凝り固まったこの女が、私と遺伝子的に、魔力的に、運命的に密接にかかわりを持っている。耐え難い。あいつとのへその緒は、私が植木ハサミを持ってきて、力を込めて、ブツンと断ち切ってやりたいくらいだ。

金髪の少女は、ルルが差し出したゲテモノをちょっと見ていたが、すぐに興味ないというように視線を逸らした。
「いらない」
そりゃそうだ。わけのわからないやつにもらったわけのわからないものを口に入れるなど、誰がするか。
「遠慮しなくていいって!みんなの分あるから!」
少女は怪訝な顔をしていた。嫌がってるってわからないかな。
すると、少女と一緒に居た少年が、少女の前に立ち塞がるように進み出た。こちらも金髪で、少女ほどではないが強いヒカリを感じ取れる。やはり彼らの世界では、この程度は当たり前なのか。それとも、そういう種族なのか。
ルルはというと、頑なに不味い飴を勧め続ける。
「あなたも、どーぞ!味はビミョーだけど、お近づきの印に!名前なんていうの?」
どうせ誰も受け取らないよ。無様だねルル。
と思っていたら、想定外。少年はニコッと笑って、手を差し出した。ルルは、包装を剥がし、飴玉をその手のひらに転がした。

少年は言った。
「ありがとうございます。蘭と言います。助かります。“食べ物は何も持っていなかったもので。”」

蘭と名乗った少年は、おしるこキャンディをほおばった。
おマヌケなルルはというと、ふにゃふにゃとだらしない笑みを見せていた。
でもその時、蘭少年のヒカリが、ちょっとだけ陰った。


あいつ、心にもないことを。見えてるよ。

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