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253.バカセカ番外編スレ
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32 :げらっち
2022/08/10(水) 15:51:38
再三の敵襲があった。
地面のあちこちがひび割れ、第二波よりもさらに多くの泥が立ち上がった。
「これじゃキリが無い!」と霞月さん。
確かにその通りだ。
「多分、これらの根源が地下に居るんですよ!そいつを倒さないと!霞月さんはここで、出てきた奴らを喰い止めて!私は地下に行ってみます!」
「わかった!」
私は泥の筋を避け、地下に入れる場所を探して走った。
すると、私を追い駆けて来る者があった。ひなただ。
「ひなたさん?」
「私も行く。あなただけじゃ邪魔者を倒せるか、わからない」
私はイラっとした。私の魔力は強い。何で年下に心配されなきゃいけないの?
しばらく進むと、白い柱が立っていた。アルビノの電柱だ。私はハッとした。ここはただの迷路ではない。白い住宅街だ。だとしたら。
「あった!」
私は地面に、白いマンホールを見出した。BMI・17程度の少女が素手で開けられるものではないが、ガールズレッドに変身した時、防御力や身体能力は増強されている。これなら問題ない。手を掛けて引くと、ガコッと音がして、蓋が開き、地下への入り口が現れた。
ひなたは不思議そうにそれを見ていた。
「マンホールも知らないんですか?行きますよ!」
私が白い梯子を降り、ひなたがそれに続いた。
地下道を流れているのは下水ではなく、灰色の濁流だった。地上に噴出したものと同じだ。上流にあたるほうに向かうと、ついにその温床がなんであるかわかった。
「あれは!」
地下の少し開けた空間、灰色の汚水の中心に、白くて四角いものが浮かんでいた。上部にぽっかり穴が開き、そこから泥が無尽蔵に吐き出されている。
「洗濯機!!」
それは正に洗濯機だった。エアコンの次に洗濯機とは、家電のカーニバルだ。
ひなたは「センタッキ?」と発音した。センタッキではない、センタクキだ。
「洗濯機も知らないんですか?服を洗う機械ですよー!」
ひなたは「知らない」とだけ返した。綺麗な無表情だった。私は、年下相手にえばっている自分が恥ずかしくなった。美しい彼女の前で、自分が不格好で不細工に思えた。そして自分の行いが、いじめっ子気質なことに気付いて、申し訳なくなった。
「……とにかく、今回は私が倒します。やらせてください。」
日向は私を見つめて言う。
「できるなら」
できるとも。
「炎の勇者!! ガールズレッド!!」
私は再び、顔面を含む全身を魔法で覆った。
しばらくは攻撃せず、弱い魔力を漏らしていた。深く息をする。魔法をセカイに染み込ませ、溶け込ませる。今だ。
「スーパースーパースパイラルフレア!!」
炎の螺旋が洗濯機を囲み、絡みついた。とぐろを巻いて、焼き尽くす。服を綺麗にするどころか、周りのものを汚染する洗濯機だなんて。
「燃えてしまえ!!」
魔法は「適応」された。
ガァンと破裂音がして、家電は大ダメージを受けた。
周りの泥共々、色素が白よりも薄くなっていき、無色透明になり、消滅した。
「やりました!!」
私は変身を解除し、ひなたに笑いかけた。ひなたはこくんと頷いた。かわいいとこあるじゃん。
「ブイ!」私はピースマークを見せつけた。ひなたはまたもやハテナの顔だ。
「これ、ビクトリーのVマークですよ!敵に勝った時とか、嬉しい時にするジェスチャー!やってみて!」
私はカニのハサミように、指をうにょうにょと動かした。
ひなたもそれを真似し、チョキを作ろうとした。
だがそれは未完成のまま、彼女は興味を失ったように、梯子のほうに戻って行った。私は叫んだ。「ああもう!!!」
☆☆☆
リリは、振り向いた。
「私たちはつけられている。」
「え?」と奏芽。
「なんでもない、独り言。いいから先に進もう。」
カタカタと、リリたちを尾行している、真っ白い機械。それはルンバ。
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