スレ一覧
┗
253.バカセカ番外編スレ
┗34
34 :やっきー
2022/08/15(月) 21:37:39
ぶしゅっと音がして無色の煙がおれの顔に直撃した。突然のことで対応できなかった。
「ゲホッ、ゲホッ」
数回咳き込んで円柱を見る。少し視界が霞んでいるような気がする。毒か?!
おれは立ち上がって距離をとった。足がフラフラする。やはりおかしい。
円柱はカタカタと音を鳴らす。音はどんどん大きくなり、動作も次第に激しくなった。
これは早々に片付けるべきだ。本能が告げる警告を受け入れ、おれは腕を伸ばして両手を円柱に向けた。魂の内部で魔力を練り上げ、身体中にそれを巡らせてから上腕へ送り、前腕を伝って手の平に集中させた。魔力を追う形で体温も移動し、おれの腕は、おれの手は高熱を帯びた。
脳に描くは炎。激しく燃え盛る炎を円柱に向けて放つ。
【火魔法・猛炎】
体の正面から乾いた熱気が吹き荒れた。小さな足で爆風に耐えて魔法を打ち出す。もちろん本気は出していない。相手が本気を出すに値しないからということもあるが、本気を出せば肉体が魔法に負けるから『本気を出せない』と言った方が正しい。
少しくらい反撃が来るかと思ったがそんなことはなかった。円柱はあっさり炎に包まれた。橙色の光が白いセカイを塗りつぶす。勢い余って壁が崩壊したのか重たい破壊音の後に白い砂埃が舞った。円柱の姿は炎と砂埃に覆われて見えない。
おれはすぐに体内の毒を分解した。おれが扱う魔法は光と火。そして火よりも光の方が純度の高い魔法を発動出来る。この程度の解毒は朝飯前だ。自分の力を過信しているのではない、ただの事実だ。
それで、どうなった?
おれは砂埃を睨んだ。さっきのカタカタという音も聞こえないし、壊せたのだろうか。
砂埃が晴れてきた。音はしない。円柱の状態を確認しようと近づくと、ウィーンという聞き慣れない音が聞こえてきた。
突如一筋の光、光線がおれめがけて放たれた。
「わっ!?」
警戒していたつもりだったが心のどこかで油断もしていたのだろう。光線はおれの左肩を貫いた。内部から骨を打つような鋭い痛みに襲われて、左肩を押さえて数歩後ずさる。
「らんくーん!!」
その声を聞いてかなり不快になった。振り向かなくてもわかるこのイライラする声は茶髪の女のものだ。一人でいいって言ったのに結局来たのか。確かにおれの見た目は子供だが、だからといってここまで世話を焼く人間には初めて会った。
「さっき大きな音が聞こえたけど大丈夫? 一人で大丈夫って言ってたけどやっぱり心配で」
タイミングが悪い。茶髪の女はおれが左肩を押さえているのを見るなり顔で悲しみを表現した。
「怪我したの? 大丈夫?」
「大丈夫だって言ってんだろーがうるせぇな」
ドスの効いた声が茶髪の女の顔を凍りつかせた。ああ、もういいや。これ以上媚びを売っていても意味がない。これ以上はおれが不快になるだけだ。そう見切りをつけて茶髪の女から視線を外し、砂埃が舞っていた方を見る。砂埃はとっくに晴れていて炎に焼かれて炭になった円柱があった。視認してはいないが壊れていたはずの壁も元通りになっている。しかし連中は白い砂を被っていた。真っ黒な本体が砂によって少々白が混ざった色になっている。いわゆる灰色。鈍色と呼ばれる色に近いかな。
「ォ繝�ウ<繝」
リリが言った。やけに聞き取りづらい音でわかりにくいがリリの声のはずだ。なんて言ったんだ? 聞き取れなかったのではなく言葉として認識できなかった。リリの視線は円柱に向いている。
「え? あ、ホントだ。どうしてこんなところにォ繝�ウ<繝が?」
あの円柱のことを言っているのだろうか。二人はあれを知っている、ということはあの円柱は二人の世界にあるもの。道理で見た覚えがないわけだ。
茶髪の女はさっきのおれの言葉に多少ショックを受けているらしい。が、この状況を見て意識をこれから行われるであろう戦闘に向けた。
どう足掻いても協力せざるを得ないのか。
おれは聞こえるようにわざと大きくため息をついた。
[
返信][
編集]
[
管理事務所]