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253.バカセカ番外編スレ
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35 :げらっち
2022/08/18(木) 17:49:41
《リリ視点》
ここに集められたメンバーの共通点。
各世界の強豪が代表選手として集められている。何もそれは、大相撲の横綱や、格闘技のチャンピオンではない。
強い魔法を使える者たちだ。それも生半可な強さではない。
弱い者を連れ込んだとしても、この迷路を突破できずに、バケモノや罠の餌食になるのは目に見えている。
このセカイの主の目的がなんにせよ、彼/彼女は、落伍せずに迷路を抜けられるメンバーを選り好んで、ここに招待したと言える。そして、私たちに何かを求めている。
蘭少年は、たった1人でバケモノをKOした。迷路を破壊するほどの爆炎が見えた。強大な魔力を示すまばゆいヒカリ。
幼いとはいえ、やはりただ者ではないな。まあ私も急成長させられた身だから、年齢なんて関係ないのはわかっているけれど。
「や、やったのかな?」
奏芽が言った。
私は答える。
「やってない。怯ませただけ。バケモノは倒されると、透明になって消えてゆく。でもあのルンバはまだ消えてない。」
ルンバはひっくり返っていた。殺虫剤を受けたゴキブリのように。でも、何でルンバなんだろう。私は幼少期、育ての親であるゲラッチに色々なことを教わったので、ルンバのことも知っている。興味はあるけど、今はあまり関係なさそうだ。
灰色のルンバはカタカタと動き、ぴょんと起き上がった。
一回り、大きくなっている。浮き輪くらいの大きさはある。直進すると壁をガンとバウンドし、そのまま迷路内を跳ね返りながら四方八方にレーザーを撃ちまくる。私たちは曲がり角に隠れた。
「ど、どうする?戦う?」と奏芽。
「そのほうがよさそうね。」と私。
蘭ははあっと溜息をついた。
それはしぶといバケモノに対してというより、私たちに向けられたものだった。
奏芽もそれを察したらしく、彼女のさっぱりした顔は青ざめて蝋人形のようになっていた。
「ね、ねえ、蘭くん、大丈夫?肩の怪我は?動揺するのもわかるけど、私たちは味方だから……」奏芽の声は上ずっていて、聞いた者を不安にさせてしまう。
「おれは動揺などしていない」
案の定の返しだ。
「動揺してるのはそちらじゃないんですかね?」
蘭はズケズケと物を言うようになった。恐らくこれが本性だろう。忖度無い物言いは嫌いじゃない。
奏芽は何故か私にすがってきた。肩を掴まれる。
「リリ、怖い。逃げよう。」
同性ということで気を許してるのかも。甘いな。
「それはベストアンサーじゃないね。この迷路を進むには、どのみちあいつを倒す必要がある。私たちはこのセカイを出るまでは協力するって締結してる。でも友達になるとは言ってない。馴れ合いはせず、共闘する。」
奏芽は泣きそうになっていたが、それでもうんと首を縦に振った。
「わかった。どうすればいい?」
この人もヒーローというだけのことはある。
私は次いで、蘭少年に声を掛けた。
「蘭くん。」
蘭は魔法で傷を塞いでいた。左肩がボヮァと炎で包まれ、銃創が消えた。燃えた服は戻らないので、少年は袖を破り取り、片腕だけノースリーブという独特なファッションになった。
「似合うじゃん。」
「どうも。」と蘭。感情は添えられていない。
「ねえ、あなたは1人でやりたい派かも知れないけど、私の計算では3人の方が早くやれる。具体的には、96秒の時短になる。このお喋りのタイムロスを差っ引いてもね。TAの上ではかなりデカい。」
蘭は私を見た。
その顔には、くっきりと、「何だこいつ」と書かれていた。綺麗な明朝体だね。
「よくわからない?私、特別な能力があるの。他人はこれを、自閉症と言うけれど。」
自閉症の割にはペラペラとおしゃべりできる。重度知的障害と強度行動障害を持って生まれた私だが、神のパシリとして時間遡行した時にそれらはアンインストールされた。自閉症スペクトラムの残滓はこの異常な計算能力だ。将棋の千手先を読むように敵の行動、自陣の行動をコンピューターにぶち込んで0.5秒あれば最善手を叩き出せる私はスーパーコンピューターだ。サヴァン症候群だ。ゲラッチのチートとルルのバグと雪華の改造のサラブレッド・私はTASだ。
「つまり、こういうこと。迷路は複雑だけど、私は一番合理的な道を選べる。試してみない?」
蘭は返答しなかったが、私にbetするのを決めたようだ。それでいい。
「じゃあ私の言う通り動いてね。」
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