セブンネットショッピング

スレ一覧
253.バカセカ番外編スレ
 ┗36

36 :げらっち
2022/08/18(木) 18:02:13

ルンバは迷路内を高速で掃除している。レーザーを撒き散らしながら。この弾幕を避けるのは不可能に近い。
だが「近い」というだけで不可能そのものではない。0.1%でも確率があるなら、そこに狙いを定めるのが私のスパコン。
鋭利な合理で攻略法を見出す。作戦会議が終わった。

「コミュニティアプリ起動。」

私は白いスマホに声を吹き込んだ。大声で詠唱する人もいるけど、割と無駄。呪文は小声でも効力は変わらない。むしろ、声量にエネルギーを浪費しないほうがいい。
白い表皮が凍てついてゆき、白い魔力で覆われる。
冷たい。心地いい。

「氷の反逆者、ガールズ・ニュー・ホワイト。」

「すごいなあ、変身できるんだ。」奏芽はそれを珍しそうに見ていた。
「できるよ。でも私にしてみたら、あなたの能力の方がもっとすごい。」
「そうかな……?そんなこと言われるのは初めてだよ。」
彼女は水色のハンカチで汗を拭いていた。上手くいくか心配なのかもしれない。私は気分をほぐすような言葉を探す。
「そのハンカチ可愛いね。私も水色が好き。ていうか、白以外の色は全部好きだけど。誰かのプレゼント?」
「うん当たり!霞月がくれたんだ。霞月もおそろのハンカチ持ってるよ!」と、彼女はちょっと笑う。

奏芽の能力は、闇。

聞いた時はびっくりした。
私の居た世界では、闇とはそのままの意味、光の裏側、邪悪なものを指していた。
光魔術と闇魔術は表裏一体で「魔術」と呼ばれ、他の魔法とは区別されるほど、特異で強壮で希少なもので、使える者は数少なく、ダークゲラッチやその妹、悪魔、他にもキャスストーンを巡って暗躍した宇宙の黒幕たちが使っていた。
奏芽のような善意の塊が使える能力ではない。
少なくとも私の常識では。
でも、世界の常識はお隣の世界では非常識。きっと霞月と奏芽が居た「ほうの」日本では、光と闇の、魔法の、ヒーローの価値観は違っている。だからあの平凡な2人が光と闇を取り扱っていても、有り得ない事ではない。

ときに蘭少年も、私のことをチラ見していた。トゲトゲしいようで、私のこと気になるんだ。かわいいじゃん。
「ハーイ、じろじろ見ないでくれる?」
蘭はハッとして目を逸らした。
「冗談冗談、思う存分見ていいよ。私、“あの子”にちょっと似てた?」
蘭は向こうで暴れ回っているルンバを見ながら答える。
「何の話だ?今関係ないだろ。」
あ、たじろいでいる。
「何故なかなか仕掛けないんだ?」
「これは、乱数調整。」
乱数調整は大事。いつ動くか、0.01秒単位のズレで、相手の動きが、生まれる摩擦が、TAのリザルトが大きく変わってくる。
「まだぁ?」と奏芽。


待って、まだ早い。


まだまだ。


もう少し。


「今だ!!」私たちは作戦通り3方向に走った。ルンバはそれに反応し、回転しながら360度レーザーを撃つが私の指示通りに動けばそれらは当たらない「蘭!」蘭は「火魔法!」と唱え猛火でルンバ、ではなくその背後の壁を狙う。ドォンと黒煙、瓦礫が落ちてきてルンバに命中。計算通りならルンバのセンサーは破壊された。次に私は「氷雪魔法ブリザードハンド!」と。煙幕の中でも氷の腕でガッチリとルンバを掴む。「奏芽!」さあ仕上げ。この合間に奏芽はお得意の闇を練り上げていてそれをルンバに打ち付ける「闇ビーズ!」駄目、0.2秒早い。まあその程度の誤差なら私のほうで補正可能。闇がルンバにダメージを与え、じゃあ、私がトドメ。

「氷魔法――」

私は右手に氷の粒を集積し、
泥が落ちてきた。

「え?」

[返信][編集]



[管理事務所]
WHOCARES.JP