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253.バカセカ番外編スレ
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41 :やっきー
2022/09/08(木) 21:04:55

「久方ぶりじゃのう、種子(たね)よ」
 レヴィアタンは宙に浮かんで私を見下しながら言った。私は特に返事もせずにレヴィアタンに闇を放った。黒を纏う風が複数の水柱を貫通し、呆気なくレヴィアタンまで到達した。風と言っても易しいものではない。鋭利な切れ味を伴う闇魔法らしい風だ。
 風は呆気なく消えた。レヴィアタンが持つ扇の一薙ぎで跡形もなく。
「よもやその程度の魔法で妾を倒せると思ったのか? なんのつもりじゃ。もっと妾を楽しませるのじゃ!」
 レヴィアタンは両手を広げて水柱の勢いを強めた。遊ぶ気はない。
「蘭のところに行かなくちゃ」
 ここは私が元いた世界ではない。それに蘭はまだセカイに残されている。レヴィアタンなんかどうでもいい。早く、蘭のところへ、行かないと。
 私は両手に黒い力を集中させた。セカイに来てからこの力を使うことが多い。蘭になんて言われるか。どうでもいい。早く、戻らなきゃ。
 私は世界を溶かそうとした。本来ならここで空間ごと空も大地も水柱もレヴィアタンもどろどろに溶けるはずだった。しかし実際には世界は溶けず、私の腕は白いままだった。ぼんやり両手を見ていると、レヴィアタンがくすくす笑っていることに気づく。
「ここは作り物の世界じゃ。其方の力はここでは適用されぬ。花園日向である其方では、妾には敵わないのじゃ!」
 言われてみればそうだ。私のこの力がセカイで発動される方がおかしいのであって、通常であればそうだった。
 レヴィアタンは扇を振った。さっきの私の黒い風が起こり、私を襲おうとする。死なないし、避けるなんて面倒だ。私はその場に足を固定した。

「バーニング!」
 目の前で爆発があった。黒い風はまたもや消えた。レヴィアタンは私の魔法を返しただけで、つまりいまの爆発は私の魔法を打ち消したわけだ。
「ひなたさん、大丈夫?!」
 爆発の主はルルだった。なるほど。神を名乗るだけのことはある。私はルルを妥当に評価はできていなかったらしい。
 そこで閃いた。ルルは私がいた世界の世界線から外れた世界から来た存在。私がいた世界のルールは適応されない。簡単に突破口が見えた気がした。
「もう一度炎の螺旋を出して。さっきよりも強いもの」
 私が言うと、ルルはキョトンとした。
「すーぱーすーぱーすぱいらるふれあ」
 私は首を傾げた。
「確かそんなことを言って出してた、あれ」
 私に指示されて腹立たしいような、それでも嬉しいような変な顔。ルルは元気になってレヴィアタンに向かって叫んだ。

「スーパースーパースパイラルフレア!!」

 そして生み出された炎の螺旋を核として、私は光を乗せた。激しい光に照らされて、四季の木の花の桃色が白色に変わる。あくまで主役は炎の螺旋。
 レヴィアタンは両手を掲げた。まっすぐに伸びていた炎の螺旋が突然止まる。空が波打って、攻撃を食い止めている。
「いっけええええ!!」
 炎の螺旋に魔力が込められるのを感じて、私も光に込めるエネルギーを増やした。
 空に亀裂が走り、レヴィアタンの顔が曇るのを確認した。と、同時に炎の螺旋がレヴィアタンを貫く。思った通りだ。この世界のあらゆる上下関係はルルには関係ない。新しい発見だ、面白い。

「ははははっ、面白いのう! はははははははっっ!!」

 レヴィアタンの最後の言葉はこうだった。レヴィアタンの体が発光して破裂した。残骸が落ちてくることはなかった。
「やりましたね!」
 私は頷く。そしてびくとりーのぶいまーくとやらをもう一度真似して見せた。なんだか不格好。ルルは目を丸くしたあと満面の笑みで同じ手の形を私に見せつけた。自分の方が上手いと言いたいのか。まあいい。

 ルルの顔がブレた。いや違う。空間そのものがブレた。一瞬一瞬でだんだん世界がズレていく。目の前がチカチカして、次第に意識が遠ざかっていった。

『バカセカ世界のボス、レヴィアタンを倒した日向とルル。次はCGR世界へ! 消えた霞月の行方は? このあとすぐ!』

 さっきから、うるさいな。

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