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253.バカセカ番外編スレ
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45 :げらっち
2022/09/11(日) 16:30:25

だが日向には、緊迫感というものが無かった。
目の前の存在は、「女神」を名乗っているが、そうではないのはわかっている。偽の神だ。倒そうと思えば、簡単に倒せる。
ルルが傷つけられたが、日向にとってはどうでもいいことだ。蘭が傷つけられでもしない限り、彼女の心が動くことは無い。
日向はキズナフォンに興味を持っていた。拝借して眺めているうちに、使い方もわかってきた。日向はアプリをタップした。

「何してるのひなたさん!それ返して!アッ、写真は絶対見ちゃダメだからね!!」

日向が起動したのは「コミュニティアプリ」。ルルが変身した際にその挙動を見ていたのだ。
そして無詠唱で、魔力を身体にデコった。
「嘘!!!」
ルルの目は飛び出さんばかりだった。
何故なら日向が「変身」したから。それも見たことのないような、金色の戦士に。


「……ガールズゴールドですか!?」


日向はその名前を是認も否定もしない。名前は符号であり、この世界を出れば通用しなくなる。どうでもいいことだ。
それよりも、日向は魔力をこの世界に適応させた。
最適解を出していた。その姿が、CGR世界で、最も力を出しやすい格好だと。

ハローデスは高飛車に更に角と桂馬を添えて言った。
「何だ?デストルドー(破滅本能)である我とビーチオルタに歯向かうつもりか?害悪な癌細胞めが……言い残したことはないか?」

日向は淀みなく言った。
「あなたなんかに興味は無い。でも、この力は面白そうだから、試す。」

日向は少し、わくわくしていた。

「殺れビーチオルタ!!」
ハローデスの命により、ビーチオルタは光の矢を連射した。
日向は右手を前に突き出し、唱えた。

「金魔法ゴールドスパイラル」

それはルルにも見たことのない魔法だった。
日向の手から金色が漏れ、ぐるぐると綺羅を撒き散らして進んだ。それは光の矢を消し、ビーチオルタをバラバラに壊滅させた。夜の住宅街は、パッと金色に染まった。
「キレイですう!」とルル。

ところでハローデスは、何故か明後日の方向を向き、誰かに話すように喋っていた。
「我を馬鹿にして何が楽しいのか?烏滸がましい!!我は貴様クロボー師や迅を倒し、メンズスターの頂点に登りつめた男ぞ。」

ルルと日向はその方向を見た。すると屋根瓦の上に、テレビが仁王立ちしていた。
ルルは叫ぶ。「あのテレビが偽の世界を生み出していたんですね!?」
よく見るとテレビ画面の中では、クロボー師がショットガンを構えていた。
「クロボー師さん?」
「kitchen-guyめ。ぶっこわーーーーーーす!!!」

クロボー師が射撃した。するとテレビのバケモノは、内側からドバンと吹き飛んだ。
世界の画質が荒くなり、ザラザラと砂のようになって、崩れてゆく。
ルルは日向を探した。すると彼女は、ハローデスの腹部に黄金のナイフをザシュザシュと突き刺していた。
「ひなたさん、やりすぎですぅ!」
「よせ!!お前が本物の女神だったのか……?」ハローデスは空間と共に砂粒になって消えていった。
日向の変身が解けた。彼女は全身に返り血を浴びていた。ルルは、ちょいと興奮した。そして消えゆく世界で、日向にピースマークを見せた。「これでセカイに戻れますね!」日向は無表情のまま、血に染まった指でチョキを作る。
「( ╹‐╹ )」
だがそれで終わるわけがない。

世界が全て崩れ去り、暗転した。「たすけて!!!」漆黒からSOS。ガン、ガンと、闇に白いストライプが入る。それは檻だった。檻の向こうには、霞月と、奏芽が居た。ルルは手を伸ばした。「霞月さん!」だがその手が届く前に、黒が白に変わった。霞月も奏芽も消えた。
ルルと日向は、真っ白いセカイに、帰ってきた。
そして2人の目の前に、蘭とリリの姿があった。
「ひなた!」と蘭。
「ルル。」とリリ。「ハンカチ、返しそびれちゃった。」彼女は奏芽のハンカチを手に、少し寂しそうにしていた。

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