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253.バカセカ番外編スレ
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67 :やっきー
2022/10/27(木) 19:55:15
《蘭視点》
塔から出た頃には日向も塔を攻略しているかと思ったがどうやらそうでもないらしい。自分と自分、二人だけの戦いだから手間取っているのか。あるいは。
おれはさっきの蒼い石を思い出す。あれは蒼ではなく瑠璃か? とにかくセカイのコピーは『現在の自分と全く同じ』というわけではなさそうだ。
なら、おれの偽物は手強いかもしれない、いいや、手強い。なぜなら――
突然第三の塔がカッと光った。白いセカイでは光はわかりづらいが確かに光った。
「ぎゃあ! 熱いですぅ!」
光はおれが入っていた変なデカ人形を融かした。外皮が剥がれ、熱はあっという間に内部まで侵食する。ゴワッと正面から炎に襲われ、おれは外に投げ出された。
「うわあっ?!」
慌てるな慌てるな。まずは着地。どうやら炎はここでおれを獲る気はないようだ。それなら落ち着いて着地に集中できる。
おれは風魔法を使うことで、自分で自身を浮かせた。落下速度を落とし、ゆるゆるとセカイの床に辿り着く。
その直前に、床との衝突まであと僅かというルルが見えた。助けた方がいいかと思ったがルルもルルで自分のことは自分でなんとかしたらしい。あれは、熱風か。面白い使い方だな。
風向を変えてルルの方へ移動する。ルルはなぜかおれに対して驚いた顔をした。
「それって風魔法ですか?」
「ああ」
おれはルルから五歩ほど離れた位置に着地した。
「風魔法も使えるんですね。私の世界では違うエレメントの魔法は使えませんよ」
エレメント……ああ、属性のことか。
「おれの世界では『適性魔法属性』という概念が存在する。おれの場合は火と光。でも鍛えればある程度は他の属性の魔法も使える」
そもそもおれがいた世界での全ての魔法は【白】【黒】から派生している。越えられない属性の壁はこの二つの間の壁だけで、火や水などの基本属性の壁はなんだかんだ言って脆い。派生元が同じだから。
ルルは半分理解して半分理解していない顔をした。無視。
「さっきの炎は蘭の偽物の魔法でしょうか」
「だろうな」
おれの偽物がどんな姿なのかを想像したおれはきっと険しい表情をしていたのだろう。ルルが励ますような気持ち悪い声を出した。
「二人なら偽物なんて一瞬でけちょんけちょんですよ! 一度水をぶっかければイチコロじゃないですか?」
お前なぁ……と言いかけてやめる。また水をかけられでもしたらたまったものじゃない。
「いいや」
代わりの言葉をこぼす。ルルの言う通りおれの弱点は水。しかしおれの偽物に水は効かないだろう。そんなもの、現実世界に水を具現化させた時点で蒸発して消え失せるだろうから。
「おれの、偽物も神だ。おそらく。油断はできない」
「ええっ? 蘭も神ってことですか? 多すぎですぅ!」
おれはルルの言葉を肯定できない。それは許されていない。神が多いってのは、同意だが。
あ、ここは世界じゃないんだった。それなら肯定しても、もしかしたら大丈夫かもしれない。
「ああ、おれは元々神だっ」
その瞬間何者かによっておれの内臓体内に収められている全ての器官細胞が弄り回されておれは吐いた食道を超えてきた吐瀉物が白いセカイの床にべしゃりべちゃりと付着していくおれはルるからかおをそむけようとしたガヨコヲムクダケデセイイッパいでルルハイタイイタイアタマガイタイアタマガワレソウダバクハツシソウダタえろたえろこの痛みはすぐに治まる。
ルルがなにか言っている。しかしおれの体は嘔吐を優先しているし、頭の痛みのせいでルルの言葉は聞き取れない。目が取れそうになったから慌てて抑えた。燃えてやしないか。そう思って手を当てるがそもそも手が燃えるように熱かったのでよくわからなかった。
「だ、大丈夫ですか?」
やっと耳が元に戻ったみたいだ。やはりセカイでもおれは自らの正体を明言することはできないらしい。腕で口元を見えないように押さえる。
「平気だ。とにかく塔の中には神がいる。油断はするな、それだけだ。
行こう」
おれは無事に残っている二つの塔のうち、おれの偽物が待ち構えているであろう塔へ歩みを進めた。
不快な汗を乱暴に拭った。
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